栃木県小山市の若駒酒造の屋号は「太○」と書いて「かねたまる」と読む。意味はもちろん「金たまる」だ。創業は1860年、祖先は商売上手といわれる近江商人だが、6代目の柏瀬幸裕さんが蔵へ戻った2009年は、金がたまるどころか、出ていく一方。「親孝行のつもりで、3年間だけ酒を造ろうと帰ってきました」。当時の生産量はたったの100石。そのうち7割は儲からない普通酒だった。

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