2022.5.22 新日本酒紀行「萩錦」 酒の約85%は水が占め、ミネラル分が多い硬水で仕込むと酵母の栄養源が多く、発酵が旺盛になり短期間で酸味のある辛口酒に。逆に軟水は発酵の進み方が緩やかなため、まろやかでフルーティな酒になるといわれる。理想の水を求めてくみに行く酒蔵もあ…
2022.5.15 新日本酒紀行「大号令」 安芸津杜氏が腕を振るった馬上酒造場の酒は熊野町内で消費され、最盛期は900石を誇った。4代目の馬上日出男さんは、1983年に34歳で銀行を退職して蔵を継ぐが、生産量は減少し、95年、杜氏の逝去後は日出男さんが杜氏を兼務。妻と30石を造り続けた。…
2022.5.1 新日本酒紀行「富士錦」 富士山を仰ぐ田園地帯にある富士錦酒造は、蔵の横で酒米を育て、地の素材で酒造りに励み、蔵開きには1万人以上が集う。蔵元は26年前に、33歳で妻の生家の酒蔵を継いだ18代目の清信一さん。「愛される蔵」をモットーに意識改革を進め、蔵を再生した…
2022.4.24 新日本酒紀行「和の月」 和の月と書いて、なのつきと読む酒は、茨城県で初の有機農産物認定を受けた酒米で醸す酒。大洗町の月の井酒造店の坂本敬子さんが、47歳で急逝した夫、和彦さんの遺志を継ぎ、生きた証として、2004年に世に送り出した。
2022.4.10 新日本酒紀行「白露垂珠」 聖徳太子によって東北へ逃れた蜂子皇子が開山した山形県の出羽三山。日本三大修験道の一つで、江戸時代には伊勢参りと並ぶ参拝者を誇った。鶴岡市羽黒町で1858年に創業した酒蔵の竹の露は、1923年に出羽三山神社のお神酒を醸した蔵を移築。「神様の…
2022.4.3 新日本酒紀行「吾有事」 銘醸地といわれた山形県鶴岡市は、今も7軒の酒蔵が残る。その一つが創業1724年の奥羽自慢だ。茅葺屋根の母屋に酒蔵が続く老舗蔵だが、2009年、300年の歴史に幕を閉じようとしていた。伝統ある蔵をなくしてはならないと、酒田市の「楯野川」醸造元の…
2022.3.27 新日本酒紀行「鏡山」 江戸情緒を残す町並みで人気の埼玉県川越市は、県内一の観光客数を誇り、蔵の街を名乗る。だが、2000年に最後の酒蔵が廃業。これを憂いた有志が酒蔵復興運動を起こし、飯能市の五十嵐酒造の協力を得て、07年に新しい酒蔵が誕生した。
2022.3.20 新日本酒紀行「来福」 米28種と酵母20種を使い分け、毎年60種類以上の酒を造る茨城県筑西市の来福酒造。「試したい米は即、仕込みます」と10代目の藤村俊文さん。モットーは即断即決。農家や飲食店からリクエストがあれば小仕込みでも対応する。
2022.3.13 新日本酒紀行「真上」 筑波山北麓に位置する桜川市真壁町は、江戸時代に陣屋町として栄え、町並みは重要伝統的建造物群保存地区に指定。登録有形文化財の建造物は100棟以上も残る。その1棟で酒造りする村井醸造は、1670~80年に近江商人の村井重助が良い米と水が豊富なこ…
2022.3.6 新日本酒紀行「白川郷 純米にごり酒」 とろりとクリーミーな口当たりのにごり酒は、どぶろくと混同されがちだが、酒税法では、にごり酒は清酒、どぶろくはその他の醸造酒に分類される。違いは、濾すか濾さないかだ。1976年から、世界遺産の白川郷の名を冠したにごり酒を醸す三輪酒造。8…
2022.2.27 新日本酒紀行「クラフトジンふたば」 国産のクラフトジンに注目が集まる。ジンとは何か? 実は細かい規定はなく、蒸留酒にジュニパーベリーを入れて再蒸留すればOK。「飲む香水」ともいわれ、スパイスや果物などを調合し個性を競う。日本では2016年に専門蒸留所が誕生して以来、各地の…
2022.2.20 新日本酒紀行「大鬼」 平安時代、鉞(まさかり)担いだ金太郎こと坂田金時も加わった討伐で、滅ぼされたと伝わる鬼が酒呑童子(しゅてんどうじ)。丹後半島の大江山が本拠地だ。その酒呑童子の名を冠した酒を醸すのが、京都府宮津市で1832年に創業したハクレイ酒造。仕込…
2022.2.13 新日本酒紀行「醸す森」 世界で唯一、三段仕込みで造る日本酒は、醸造酒でアルコール度数が20度にも上がる。酒母に麹米と蒸し米と水を1日に1回ずつ、3回に分けて加えるのが三段仕込み。全体量を増やしつつ発酵を旺盛にする。500年以上昔に確立した技術だ。その伝統を変えた…
2022.2.6 新日本酒紀行「純米富士酒」 塩と並ぶ世界最古の調味料である酢は、酒を酢酸菌により発酵させ、エチルアルコールを酢酸に変える。ビネガー(vinegar)はワイン(vin)が酸っぱくなったものが語源だ。日本には4世紀ごろ、中国から製法が伝来した。「江戸時代初期まで、酢は日本…
2022.1.30 新日本酒紀行「瑞冠」 目指す酒造りは「伴農繁醸」と、山岡酒造4代目の山岡克巳さん。「農業とともに繁盛する酒造り」を意味する。広島県は瀬戸内海に面して暖かなイメージがあるが、蔵が立つ広島県北部の三次市甲奴町は標高350mで、寒暖差が大きく、冬はマイナス15℃ま…
2022.1.23 新日本酒紀行「金婚 江戸酒王子」 豊島屋十右衛門が1596年に神田で創業した豊島屋本店は、灘の酒を安く、肴に大きな豆腐田楽を出す居酒屋で大人気。「江戸名所図会」にも描かれた名所となる。明治期に入り、清酒製造を開始。だが、1923年の関東大震災で店は倒壊。300年続いた居酒屋…
2022.1.16 新日本酒紀行「彩來」 北西酒造の初代、北西亀吉さんは中山道沿いの旧上尾宿という立地と、秩父からの良い水が潤沢に湧く上尾にほれ込み創業。酒銘は人形浄瑠璃好きから「文楽」とし、義太夫、三味線、人形遣いで成り立つ文楽と、米、米麹、水から成る日本酒を重ね合わせ…
2022.1.9 新日本酒紀行「はなうたホップス」 福島県南相馬市小高区で、2021年2月に佐藤太亮さんが立ち上げた醸造所haccoba -Craft Sake Brewery-の「はなうたホップス」は、東北に伝わるどぶろく製法の花酛がルーツ。ホップに黄麹と白麹を使い、爽やかでビター、甘味とうま味が重なる楽しい酒…
2021.12.26 新日本酒紀行「磐城壽」 日本一海に近い蔵といわれた福島県の沿岸部浜通り、浪江町の鈴木酒造店。蔵元杜氏の鈴木大介さんと弟の荘司さんが醸す力強い味は、地元漁師が愛飲する「海の男酒」だった。東日本大震災の津波で蔵は流失。原子力発電所事故で避難指示が発令され、故…
2021.12.19 新日本酒紀行「豊盃」 家臣や農家を鼓舞するためにうたわれたホーハイ節は、日本の民謡では珍しいヨーデル唱法を取り入れた高度な技が楽しめる明るいうただ。これにちなんだ酒米が豊盃米で、古城錦を母、レイメイを父として、1976年に青森県農業試験場で育成された。弘前…