田んぼに囲まれ自然豊かな環境に立つ蔵。屋根の下の妻飾りには、九尾伝説に由来する屋号の九分の文字が田んぼに囲まれ自然豊かな環境に立つ蔵。屋根の下の妻飾りには、九尾伝説に由来する屋号の九分の文字が Photo by Yohko Yamamoto

華やかな香りに甘みとうま味が調和する、
渾身のしずく酒斗瓶囲い

 栃木県矢板市大槻はその昔、大きな槻(ケヤキの古名)があり、その裏に九つの尾を持つ狐がいたという九尾伝説が残る土地。これにちなんで屋号を「九分」にしたのが富川酒造店だ。

「創業は1913年、祖先は水車で精米屋を始め、酒蔵を買い取って酒造りへ」と蔵元杜氏の富川真梨子さん。代表銘柄の忠愛は忠君愛国から命名。30年近く封印されていたが、酒米にこだわる銘柄として復活させた。