
インフルエンサーとしてさまざまなメディアで活躍する岸谷蘭丸さんは、イタリアの名門大学の現役生であり、高校から米国へ海外留学した経験も生かして、海外留学支援サービス「MMBH留学」を立ち上げた実業家でもある。そんな彼に、「なぜ日本の若者は留学しないのか」を聞いてみた。(教育エディター 江口祐子、ダイヤモンド・ライフ編集部)
日本はいい意味でも悪い意味でも快適すぎる
――日本の若者は、留学はおろか海外旅行をする人も減っている、と言われます。なぜだと思いますか?
よく、今の若者は内向きだ、海外に出たがらないって聞きますけど、それって単に困ってないからだと思います。
たとえ仕事がうまくいってなくても、すぐに生活が破綻するほどじゃない。メシも食えて、住む場所もある。女性や子どもが夜ひとりで外を歩けるくらい安全で、サイゼリヤとか牛丼屋とか安くて美味しい店がいっぱいある。そんな国、他にありますかって話。
海外では、金が稼げなかったら治安の悪い地域に住まざるを得ない。安心して過ごせない場所で暮らすリスクは高い。でも、日本はそうじゃない。安全で快適でコスパも良い。
「海外に出よう」「何かを変えよう」って思えるのは、もっと切羽詰まった状況があるから。今の日本は、快適すぎるんですよ。いい意味でも、悪い意味でも。
――岸谷さんもある意味、快適な環境にいたと思うのですが、なぜ高校生で米国へ留学したのですか?
僕の場合は中学で精神的に行き詰まって、「このままじゃまずい」って思ったからです。「何者かになりたい」って気持ちがずっとあったけれど、実際は特別な才能があるわけでもない。歌が上手いわけでも、演技ができるわけでもなくて。中学受験をして早稲田実業学校に入ったはいいけど、何のやる気もなくなっちゃって、このままじゃダメだなって。
中学受験した人あるあるで、「中学受験が終わったころが一番、頭が良かったな~」って思うんですよ。それで中学3年間はマジで勉強しなくて、脳みそが溶けてく感じがしてました。それでだんだん怖くなったんです、このままバカになっていくのかなって。