トヨタが14年ぶりの国内工場新設で「300万台体制」死守を再表明、トランプ関税の逆風にも動じない決意の背景Photo:NurPhoto/gettyimages

トランプ関税の逆風も国内に新工場
トヨタの意図は?

 お盆休み前に2026年3月期第1四半期(4~6月)決算発表を終えた上場自動車メーカー(OEM)のうち、乗用車各社が開示した今期のトランプ関税の影響額の合計は、約2兆7000億円に上る。第1四半期の業績では日産とマツダが最終赤字となったが、日本の自動車産業全体が、サプライヤーも含めて厳しい逆風にさらされている。

「15%関税での合意は、どちらにせよ大きい。厳しい結果に変わりはない」。東崇徳トヨタ自動車経理本部長は、決算説明会でそう苦悩を表した。トヨタは26年3月期通期の関税負担額が、営業利益ベースで1兆4000億円と試算している。これはトヨタの営業利益を3割押し下げる規模のものだ。

 トヨタの今期の純利益見通しは2兆6600億円と、前期に比べ半分近くなる44%減の大幅減益を見込む。だが、トヨタはこの逆風下でも世界生産を過去最高水準の1000万台とする計画を据え置き、そのベースとなる「国内生産300万台体制」を堅持することを改めて強調した。トヨタにとって国内300万台生産体制とそれに付随するサプライチェーン(部品供給網)は、雇用・技術の維持に必要な水準だということだ。