先進国スウェーデンの事例に学ぶ

 ところで、マイナンバーと言えば、スウェーデンの個人番号制(Personal Identification Number:PIN)がつとに有名だが、その内容や活用状況を学んでみよう(以下、「北欧モデル」日本経済新聞出版社刊を参照した)。

 まず、PINは10桁の数字から成っており、最初の6桁が生年月日、ハイフンの後の3桁は生誕番号と呼ばれており、男性が奇数で女性が偶数、最後の1桁はチェック・ディジェットと呼ばれている。同じ誕生日の人に任意の4桁を割り振るので、ごく簡単にどこにも同一番号がないPINを作ることができる。

 また、国民は最後の4桁さえ覚えておけばいいということであり、もちろんPINは生涯変わることがない。スウェーデンでは、子どもが生まれたら、病院が国税庁にその事実を知らせる義務がある。国税庁は、その子どもにPINを付与し、一件書類を親に郵送する。親は子どもの名前を届ける。国税庁は関係する役所に子どもの情報を一斉に通知するので、例えば自治体は児童福祉サービスの案内等を親に送付し、社会保険庁は(親から請求がなくとも)自動的に児童手当の給付手続きを始めることができるのだ。

 もう少し、PINの活用事例を学んでいこう。スウェーデンでは、原則として確定申告が課せられているが、税務署が予めPINによって住民登録ネットワークから収集した所得情報等の関連情報に基づき、税額や還付額などを前もって記入する「プレプリント方式」が採られているので、国民は申告書に誤りがなければサインして返送するだけで、確定申告が済んでしまう。見方を変えれば、個人の所得が全て捕捉されている透明性の高い社会であるということでもある。

 年金では、16歳以上の国民に、年1回、オレンジ・レターと呼ばれる年金情報通知が送られ、個人のあらゆる年金情報が「見える化」されている。このレターには、民間金融機関の情報も含まれており、国民は自分の年金の状態を全て一元化して確認することができる。

 なお、スウェーデンの年金は、エイジフリー年金であって、国民は61歳以降で受給開始年齢を自由に選択できる。65歳以前に受給すれば、受給額が減額される一方、65歳以降に先延ばしすれば、受給額は増額される。受給額も、25%、50%、75%、100%の何れかを自己の就業状況等に合わせて、自由に選択できる等、裁量性が極めて高い。