去る1月24日自民・公明の与党両党が、税制改革大綱を決定した。「アベノミクス税制改正」は、公平と活力のバランスに配慮した内容となっている点は評価できる。だが、今後の課題は、法人税改革と所得税改革であり、負担の構造を変える税制改革こそが究極の成長戦略となる。
分配面への配慮は評価
先進諸国の経済統計を分析してみると、政府の規模が大きいほど所得再分配が進み格差は小さいこと、格差が小さいほど経済成長が高いこと、政府の規模が大きいほど財政赤字も少ないこと、という事実が分かる。
このような目で平成25(2013)年度税制改正をみると、所得税・相続税の負担増を3党合意にそって、誠実に履行した点がまず注目される。
これまでの消費税導入時や税率の引き上げ時が、所得税や相続税の減税とセットであったことを考えると、今回消費税率を引き上げる際に、所得・資産に余裕のある者に負担増を求める、つまり増税するというのは、きわめて異例のことであることがわかる。
これは、わが国の最大の課題の一つが格差問題であること、これ以上格差を拡大させないことが、経済成長や財政赤字にプラスの影響を及ぼすことを考えると、評価すべき税制改革だ。
もっともこれは、アベノミクス税制改革というより、「野田民主党政権の最後の置き土産」というほうが正確かもしれない。
マイナンバーの導入を急げ
一方でアベノミクス減税は、デフレ脱却のためにはあらゆる手段を導入するという、きらびやかな内容のものである。その中身をみると、執行面で公平性が保たれるかどうか、疑問符のつくものも見受けられる。