凄惨な事件の被害者と向き合うとき、検事には「法律家」である前にひとりの人間に戻ってしまう瞬間がある。地下鉄駅員銃撃事件の被害者と初めて対面したとき、元検事の村上康聡氏は、言葉を発することさえできなかったという。無言で横たわる被害者の存在が、彼の心に根源的な問いを突きつける。※本稿は、弁護士の村上康聡『検事の本音』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

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