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検事という職業は、世間が想像する以上に苛烈な重圧を伴う。取調べが終わっても仕事は終わらず、机へ戻った瞬間から、調書作成や決裁のための膨大な作業がはじまる。書類の山と時間の逼迫、上司の判断というさまざまなプレッシャー。元検事の村上康聡氏が、検事がその裏側で静かに抱え込むストレスの源を語る。※本稿は、弁護士の村上康聡『検事の本音』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
取り調べが終わった後に
待ち受ける過酷な作業
あなたがもし、犯罪の被疑者として逮捕されたとしたら、それが事実であれ、潔白であれ、必死になって罪を免れたいと自己防衛、自己保身を図るのは人間の習性として当然である。
起訴になるか、不起訴になるかは、天と地ほどの違いがあるからだ。
検事の取調べで、供述調書が作成されないときは、不起訴になる可能性が高い。そのサインを見逃さないことが、被疑者であるあなたにとって有益だ。
警察が被疑者の取調べをする場合には、基本的に全部の供述調書を作成し、それに被疑者が署名押印・指印したものが検察庁に送られてくる。
これを読むことで、検事は、被疑者がどのような供述をしているかを知る。警察の調書も証拠として裁判で使用できるからだ。
では、検事もまた同様に被疑者の調書を作成するかというと、必ずしもそうともいえない。
被疑者が検事に警察の調書とほぼ同じ供述をしている自白事件の場合、検事が同じ調書を作成しても意味がないので、起訴事案であっても、警察調書で立証は十分と考え、あえて調書を作成しない場合もある。







