大学受験のための塾・予備校はいつから通うべきか?

 大学受験のための塾・予備校にいつから通うべきかは、志望校や入試難易度、入試形態によるので、一人ひとり異なります。当然、早い時期から塾を始めた方が学力の向上や調査書点を上げるのに効果的ですが、遅い時期から塾を始めても大丈夫なケースもあります。

監修:名川祐人氏のワンポイントアドバイス

 いつから塾・予備校に通い始めるかは難しい判断だと思いますが、まずは生徒が現在置かれている周囲の環境を確認してみてください。例えば、クラスメイトの多くが学校推薦型選抜や専門学校を受験するような環境では、「大学受験の一般選抜に備えて受験勉強をがんばろう」というメンタリティを保つのは非常に難しくなります。そのため、周囲の環境が受験に向かっていないような場合には、塾に通うなどして、同じような仲間と自分を高め合える環境をつくることが重要です。

 

 ただし、周囲の環境が生徒にどのように影響するかは、生徒本人の性格にも大きく左右される点でもあります。周りと比べながら切磋琢磨するのが有効な場合もありますし、過去の自分との比較で成長を実感しながらコツコツと努力するのが有効な場合もあります。どのような環境が有効かは、生徒本人、保護者、塾の講師でよく話し合って、お互いが納得して決めるように配慮しましょう。

早い時期から通学が適切なケース

 国公立大学を志望している場合や難関大学を志望している場合は、早めに塾に通い始めるのが適切です。例えば、国公立大学では、共通テストの受験科目が5教科7科目であることが多く、二次試験でも2から4教科の受験が必要になっており、多くの科目を学習しなくてはいけません。学習範囲が広く、学習量も多くなることから、早い時期から対策をすることが重要です。

 難関大学や医学部などの難関学部を志望している場合も、早めに受験勉強を始めるのが適切です。人気の大学や倍率の高い学部は、現役生だけではなく浪人生とも争うことになりますので、早い時期から塾に通うのがよいでしょう。

 また、総合型選抜や学校推薦型選抜を利用したい場合や、通っている高校の合格実績よりも偏差値の高い大学に進学したい場合も早期に塾を始めるのが適切です。総合型選抜や学校推薦型選抜は、一般選抜以上に調査書の点数が重要になります。調査書点は、高校1年生の成績から影響するため、高校のテストで継続的に高得点を取るためには塾で指導を受けるとよいでしょう。

 そして、在籍している高校の例年の合格実績よりも難易度の高い大学や学部を受験する場合も、塾でレベルの高い指導を受けるのが得策です。これまでの高校の合格実績を参考にして、高校の授業だけでは難関大学や難関学部に合格するのが難しい場合は、早めに塾に通うべきでしょう。

 なお、東進ハイスクール・東進衛星予備校は、難関大学や医学部などの難関学部への合格実績が豊富です。また、全国のどの校舎でも、同じ映像授業を見ることができるのも人気の秘訣となっています。

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遅い時期から通学が適切なケース

 遅い時期からでも大丈夫なケースは、私立大学で受験科目が少ない場合、高校が受験対策に力を入れている場合などが考えられます。

 私立大学の一般選抜では、受験科目が3科目であることが多いため、遅い時期から塾を始めても、比較的対策が間に合いやすいと言えます。また、大学や学部によっては1科目や2科目で受験できるところもあります。ただし、科目を絞る分大学の選択肢が狭まりますし、受験科目数が少なければその分高得点を取る必要が出てくるため、受験科目と受験科目数はよく検討するべきです。

 また、いわゆる「進学校」と呼ばれる学校は、カリキュラムが充実していたり、受験指導に力を入れていたりするため、遅い時期から塾に通っても大丈夫なこともあります。例えば、都立高校の進学指導重点校(日比谷、西、国立、八王子東、戸山、青山、立川の7校)や私立の中高一貫校なども、大学受験に有利だと言えます。当然、これらの学校に入ったから必ずよい大学に進学できるというわけではないので、生徒自身の努力も大切になります。

大学受験は塾なしでも可能なのか?

 文部科学省が公表している「令和3年度子供の学習費調査」(※)では、全日制高校に通う生徒の通塾率が示されています。この調査結果によると、高校1年生で30.7%、高校2年生で30.7%、高校3年生で37.9%の生徒が塾に通っていることがわかります。この調査は、生徒の進路にかかわらず調査が行われているため、大学受験をする生徒に絞るとより高いパーセンテージになりますが、塾に通わないで受験する生徒も一定数いることがわかります。

 同調査では、家庭内学習費(家庭の中での学習に使用する物品・図書の購入費)の支出がゼロ円でない比率が、高校1年生で61.4%、高校2年生で63.5%、高校3年生で68.1%であることもわかります。つまり、塾に通っていないけれども、受験のために何かしらの対策をしている生徒が多いことが推察できます。中学受験や高校受験と比較して通塾率が低いことは、子どもが自分でスケジュールを管理して学習を進める能力が高まっていたり、受験対策用のテキストが豊富に出版されていたり、いわゆる「赤本」と呼ばれる過去問が充実していたりすることが理由として考えられます。

 一方で、志望校合格に向けて効率的に学習すること、複雑化している受験方法に対応すること、高校で好成績を収めて受験を有利に進めることなど、塾に通うことで得られるメリットもたくさんあります。大学受験は塾なしでも可能ですが、塾に通った方が合格の可能性を高めることができるでしょう。

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※参照: 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」

高校生活と大学受験の塾・予備校のバランス

高校生活
出典: pixta

 大学受験に向けて早期に受験対策をする方が効果的ですが、高校生活とのバランスを考えることも大切です。

 大学受験では、高校での成績を「評定平均」という形で算出し、調査書に記入することになります。一般選抜では、基本的に評定平均が合否に関係することはありませんが、総合型選抜や学校推薦型選抜では、調査書の点数を数値化して合否の判定に用いることが多くなっています。

 大学が設定した評定平均の基準をクリアしていないと、そもそも出願ができないということもあります。受験勉強に気を取られて、高校での学習を疎かにしないように注意しましょう。

 また、受験勉強以外にも充実した高校生活を送ることを意識することも大切です。調査書には、高校での部活動の成績、ボランティア活動の実績、生徒会活動の取り組み、取得資格・検定等、表彰・顕彰等の記録などを記入する欄があるため、これらの活動をがんばることで受験が有利になることがあります。

 評定平均も諸活動の記録も、高校3年生になってから挽回しようとしても出願までの期間では非常に難しいため、高校1年生から意識して高校生活を充実させることが重要です。生徒自身も、「高校では部活動をがんばりたい」などの目標をもって高校に入学しているでしょうから、その気持ちを大切にして有意義な高校生活を送りたいものです。

高校1年生から塾・予備校を始めるメリットと注意点

 高校1年生から塾・予備校を始めると、大学入試の対策をする時間がたくさん確保できることが大きなメリットです。高校1年生の時からコツコツと学習を積み重ねることで、基礎学力を身に付けることができます。特に、受験科目が多い国公立大学や試験の難易度が高い難関大学に進学を希望している場合は、しっかりと勉強時間を確保しつつ効率よく勉強するために、早めに塾を始めるとよいでしょう。

 塾や予備校は大学の情報を豊富にもっているため、志望校選びの相談をするのにも有効です。また、大学入試までの長期的なスケジュール管理、高校における調査書点の対策、入試科目に対応したカリキュラムでの授業など、塾・予備校に通うメリットはたくさんあります。

 注意点としては、学校生活とのバランスを取るのが難しくなることです。例えば、部活動が盛んな高校に入ると、部活動と塾・予備校で多くの時間と体力を使うことになり、高校生活とのバランスを取るのが大変になります。その場合は、苦手科目だけを単科受講するなど、高校生活との両立ができるようにする工夫が必要になります。

 また、高校1年生では、大学入試の対策が中心となる予備校よりも、高校のカリキュラムを先取りした学習をする塾や、基礎学力の定着を目的とした補習型の塾に通う方が向いているという点にも注意すべきでしょう。

高校2年生から塾・予備校を始めるメリットと注意点

 高校2年生から塾・予備校を始めれば、大学受験までまだ期間があるので、長期的な対策が立てられるということがメリットです。苦手の克服や基礎学力の定着にかける時間も十分に確保できるため、高校3年生で過去問演習や志望校対策に時間を割くことができます。

 もし高校2年生でまだ志望校が決まっていない場合は、塾・予備校の講師とも相談しながら志望校選びをするのもおすすめです。志望校が早めに決まれば、受験科目を絞って効果的に対策を立てることができます。また、高校3年生での履修科目を決めるためにも、高校2年生の秋頃までには志望校を決めておくのが望ましいでしょう。

 注意点としては、部活動や生徒会活動、資格・検定試験やボランティア活動、留学など、様々な活動と両立できるようにすることです。例えば、英検やTOEIC、TEAPなどの英語外部試験を出願要件に課している大学や「みなし得点」として入試の点数に加算される大学があります。また、先述のように総合型選抜の利用をしたい場合は、高校2年生のうちに様々な実績を積むことも大切です。ただし、学業が疎かにならないように気を付けてください。

高校3年生から塾・予備校を始めるメリットと注意点

 高校3年生になると、いよいよ周りも受験ムードで、受験勉強への気持ちも高まる頃です。特に、部活動を引退する夏以降なら時間も確保しやすく、受験勉強に身が入りやすい時期でしょう。塾・予備校の費用を抑えられるのもメリットです。

 高校3年生から塾・予備校を始める場合、志望校別のコースがあり、効率よく志望大学の受験対策ができる塾・予備校を選ぶのがおすすめです。例えば、中高一貫校に通っていて高校2年生までに高校3年生までの履修範囲をある程度終わらせているような場合は、塾・予備校で志望校対策に絞った勉強に専念しやすいでしょう。高校3年生からのスタートだと、どうしても学習時間が足りなくなりますので、なるべく効率のよい勉強を心がけることを意識してください。

 また、総合型選抜や学校推薦型選抜を利用する場合は、まずは評定平均を上げられるように高校の学習の補習をしてくれる塾に入るのもよいでしょう。多くの大学の出願は秋から冬にかけて行われるため、高校3年生の1学期までの成績で評定平均が決まります。つまり、高校3年生の1学期の成績は、高校1年生・高校2年生の1年分と同じ重みになりますので、しっかりと学業をがんばることが大切です。

 高校3年生までに基礎学力を身に付けているならよいのですが、高校2年生までにあまり勉強をしてこなかった場合は、勉強時間が足りずに目標の偏差値まで届かないことがある点には注意しましょう。国公立大学のように試験科目が多いと手が回らない科目が出てきてしまいます。

 また、苦手科目の克服をする間もなく志望校対策に入らなくてはいけない場合もあるでしょう。反対に、基礎学力が身に付いていない場合は、基礎的な学習に時間を費やす必要があり、志望校対策ができないこともあります。

 学習量の不足を補おうとして「毎日8時間勉強する」という目標を立てたとしても、それまでとはガラリと生活スタイルが変化するため、学習習慣の確立には困難が生じることもあります。「もっと早く始めておけばよかった」と後悔しないように、高校3年生で塾・予備校に通い始めるとしても、高校1年生から学習習慣を身に付けておくことが大切です。

 なお、東進ハイスクール・東進衛星予備校では、高校3年生からの通塾も受け付けています。また、映像授業のため、受講が途中からになってしまうということもありません。ぜひ東進ハイスクール・東進衛星予備校への入塾を検討してみるとよいでしょう。

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監修:名川祐人氏のワンポイントアドバイス

 高校3年生から受験対策を始めても、本気で受験勉強に励むことで、十分にMARCHなどの私立文系大学に合格することは可能です。ただし、全く何も学習していない状態だと、高校3年生の生活の多くを犠牲にしないといけなくなり、生徒にとってもかなりの負担になるため、やはりゆとりを持って受験勉強を始めるのが好ましいと言えます。

 

 例えば、高校2年生までに英語を得意にしておくことがおすすめです。私立文系を受験する場合、英語が得意科目になっていれば、あとは2教科をがんばればよいという状態になるので、かなり心強いです。理系に行くとしても、英語が得意科目になっていればかなりのアドバンテージになります。高校3年生でどのような進路になるかまだわからない生徒も、高校2年生までに英語を得意科目にできるようにがんばってみましょう。

大学受験に向けた塾・予備校の選び方

大学受験に挑む高校生
出典: pixta

 塾・予備校にはそれぞれの特長があります。以下のポイントを参考にして自分に合った塾・予備校を選ぶようにしましょう。

 より詳しい情報を知りたいという方は「大学受験の塾や予備校の選び方」の記事も参考にしてみてください。

合格実績を重視して選ぶ方法

 まずは、合格実績を確認しましょう。多くの塾・予備校では、「東大◯名合格」「早慶◯名合格」など、合格実績を謳っています。合格実績があるということは、その塾・予備校の指導やカリキュラムが適切であると判断する指標になります。志望校が明確なら、その志望校への合格実績がある塾・予備校を選ぶのがよいでしょう。

 ただし、その塾・予備校で授業について行けるだけの学力を持っていることが前提ですし、塾・予備校に入った後にも努力を重ねる必要があることには注意が必要です。

教育方針や指導スタイルを重視して選ぶ方法

 自分に合った塾・予備校探しでは、教育方針や指導スタイルも重要です。教育方針でいえば、専門塾・専門予備校に通うか、大手塾に通うかがひとつのポイントになります。

 専門塾・専門予備校とは、特定の大学や学部に特化した指導を行う塾・予備校のことです。有名なのは、東京大学受験に特化した「鉄緑会」でしょうか。鉄緑会は、中高6年一貫校の生徒を対象とした塾で、東大受験の専門塾になっています。

 医学部合格を目指すなら、医学部専門塾も候補になります。医学部受験に特化したカリキュラムで、効率よく医学部合格を目指すことができます。専門塾・専門予備校は、大手塾よりも規模が小さく、少人数のため、手厚い指導を受けられる傾向があります。

 指導スタイルでは、主に「授業形式」「講義形式」「自学自習形式」がありますので、自分に合った指導スタイルを選ぶようにしましょう。

 「授業形式」は学校の授業と同じスタイルで指導を受けることができます。わからないところを講師に質問しながら授業を受けたい生徒に向いています。志望校の難易度別にクラス編成されている塾・予備校もあるので、同じようなレベルの仲間と切磋琢磨したい生徒にもおすすめです。

 有名講師のハイレベルな指導を受けたいなら「講義形式」がおすすめです。東進ハイスクール・東進衛星予備校の人気講師はメディアでも取り上げられることが多いので、知っている講師も多いのではないでしょうか。ただし、講義以外の学習は、基本的に自学自習になるので、スケジュールや勉強量を自己管理することが大切です。

 一人ひとりに合った学習スタイルで勉強したいなら「自学自習形式」も検討してみてください。「授業をしない塾」で有名なのは武田塾です。生徒は、スケジュール管理や勉強法のアドバイスをもらい、学習自体は自分で進めることになります。集団の授業に馴染めない、自分に最適な勉強方法を模索したいという生徒は、検討の余地があります。

 また、指導スタイルでは、「集団指導」「個別指導」「オンライン指導」「映像授業」という区別をすることもできます。

「オンライン指導」とは、パソコンやタブレットを用いて、自宅からリアルタイムで指導を受けられる指導スタイルです。スクールIE、東京個別指導学院、明光義塾、個別教室のトライ、メガスタなど、多くの個別指導塾や家庭教師でオンライン授業を取り入れています。移動時間を節約したい、感染症対策のため非接触の環境で指導を受けたい、幅広い選択肢の中から相性のよい講師を探したいなどの希望がある生徒に向いています。

「映像授業」とは、録画された授業を視聴して受講するスタイルの指導です。東進ハイスクール、東進衛星予備校は、先述の通り有名講師の映像授業を視聴することができます。他にも代々木ゼミナールのフレックス・サテライン、スタディサプリ、Try ITなどが映像授業を配信しています。繰り返し講義内容を確認したい、自分のスケジュールに合わせて講義を受けたい、地方に住んでいるけれど有名講師の講義を受けたいという生徒におすすめです。

「集団指導」と「個別指導」については後述します。その他にも、宿題の有無、添削指導の有無、チューター・カウンセラーの配置、欠席時のフォローなど、塾・予備校によって様々な教育方針や指導スタイルがあります。無料体験等を利用して、自分に合った塾・予備校を見極めるようにしましょう。

費用や通学の便利さを重視して選ぶ方法

 費用の相場については後述しますが、塾・予備校の費用は数十万円から数百万円することもあります。特に医学部専門予備校は高額になる傾向です。浪人まで見通すとさらに費用が必要になりますし、大学に合格したら入学金や授業料などを支払う必要もあります。大学までの見通しをもって、塾・予備校にどの程度の予算をかけられるかを算出しておくとよいでしょう。

 また、特に現役生にとっては、通学の便利さも重要です。学校から近い場所に塾があれば、学校帰りや部活帰りに塾に通うことができます。また、塾の授業が22時頃に終わる場合、自宅から遠いと帰宅時間が遅くなります。授業後に講師に質問をしたり、自習室を利用したりしたら、さらに帰宅時間が遅くなってしまうと翌日の学校生活にも影響が出ますし、23時を過ぎると高校生は補導の対象にもなります。学校生活が無理なく送れるような場所にある塾を選びましょう。

 

大学受験塾・予備校の費用の相場

 文部科学省が公表している「令和3年度子供の学習費調査」によると、学習塾にかけた費用(年間1円以上支出した者の平均額)が示されています。

【公立高校(全日制)】
学年 費用
1年生 約26万3千円
2年生 約35万1千円
3年生 約45万円
【私立高校(全日制)】
学年 費用
1年生 約31万4千円
2年生 約47万8千円
3年生 約53万4千円

参照: 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」

 なお、同調査によると、年間の学習塾費用が40万円以上の家庭は、公立高校で11.6%、私立高校で16.7%もありました。世帯年収が高いほど、学習塾費用も高額になるという傾向も出ています。

 また塾や予備校の詳しい費用については「大学受験の塾や予備校の費用はいくら?」の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

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大学受験では集団指導塾と個別指導塾のどちらが良い?

 集団指導塾と個別指導塾には、どちらにもメリットとデメリットがあります。どちらに通うべきかは、何に重点を置くかで判断が分かれるところです。以下に示すメリットとデメリットを参考にして、自分に合う方を選びましょう。

集団指導のメリットとデメリット

 集団指導塾のメリットは、目的に合わせた最適なカリキュラムが決まっていることです。塾・予備校がそれまでの知見を生かして、合格に必要な学力を養えるように、体系的・網羅的に学べるようなカリキュラムを組んでいます。基本的には、そのカリキュラムで学ぶことをしっかり身に付ければ合格に近づくことができるので、見通しをもって学習を進めることができます。

 また、同じ科目数を受講した場合は、個別指導塾よりも比較的費用が抑えられるのもメリットです。国公立志望などで多くの科目を受講したい場合は、まずは集団指導塾を検討するのがよいでしょう。他にも、仲間と切磋琢磨しながら学習した方が勉強に身が入るという生徒にも集団指導塾が向いています。

 一方でデメリットは、個人の学力を考慮せずに授業が進んでいくという点です。苦手科目を受講している場合、予習や復習をしっかりしておかないと授業にはついていけなくなることが想定されます。そのため、集団指導塾は、個人の苦手を克服するという目的には向いていないと言えます。

 また、自己管理が苦手な生徒にも集団指導塾は不向きです。例えば、河合塾や東進ハイスクール・東進衛星予備校、駿台予備学校などは宿題は出ません。授業を受けただけでは入試に必要な力が身に付きませんので、自分で予習や復習をしたり、問題演習をしたりできる自己管理能力が必要になります。

個別指導のメリットとデメリット

 個別指導塾のメリットは、生徒の学力や志望校に合わせたカリキュラムで学習を進められるところです。例えば、苦手科目を克服したり、得意科目をより伸ばしたりするために効果的な学習ができます。定期テスト対策や苦手科目の重点的な受講、志望校別対策などもできますし、講師に質問もしやすいため、しっかりと理解をしながら学習を進めていきやすくなっています。

 また、勉強の仕方から教えてほしい、学習のスケジュール管理についてアドバイスが欲しいなど、きめ細やかなサポートを受けたい生徒、一人で黙々と勉強する方が好きな生徒には個別指導塾が向いています。部活動と両立したいなど、個人的な都合で授業時間を調節しやすいのもメリットです。

 デメリットは、苦手克服のために受講すると、その科目の学習に時間を使いすぎてしまう可能性があることです。集団指導塾のペースで学習を進めれば、学習を網羅したり、過去問対策の時間を確保できたりするところを、苦手な分野に時間を使い過ぎてしまうと過去問対策が間に合わなくなってしまいます。また、1つの科目にこだわりすぎると、その分の他の科目の勉強時間を圧迫することになるため、俯瞰的に受験のアドバイスをしてくれる講師やチューターに相談できる環境を整えられるとよいでしょう。

 なお、東進ハイスクール・東進衛星予備校では、担任制度があり、学習のサポートや受験のアドバイスを受けることができます。また、一般的な集団塾とは違い、自分のペースで学習を進めていくことも可能です。

 実際の授業や校舎の環境について知りたい方は、無料の1日体験に参加してみるとよいでしょう。

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大学受験に向けた塾・予備校に入るタイミング

 高校1年生から高校3年生の年度単位で塾・予備校に入るタイミングのメリットとデメリットはすでに解説しましたが、1年間の中で塾・予備校に入るタイミングは、いつがよいのでしょうか。個別指導塾では、どのタイミングで入っても生徒に合わせて指導をしてくれるため、ここでは、集団指導塾の場合を例に解説します。

4月から塾・予備校に通うケース

 高校1年生の4月から塾・予備校に通うことで、高校の学習を先取りしながら勉強することができるため、高校でも安定して好成績を上げることができます。総合型選抜や学校推薦型選抜を狙っている場合は評定平均を上げるためにも、難関の国公立大学を目標にしている場合は学習時間を確保するためにも、高校1年生の4月から塾・予備校に通うとよいでしょう。

 予備校に通う場合は、4月から新年度が開講することが多いため、4月から通い始めるのがおすすめです。なお、予備校は塾と異なり文部科学省の定める「学校」に該当するため、奨学金制度が利用できたり、授業料が一括納入だったりするので、事前に調べておくようにしましょう。特に、高校3年生の場合は、入試まで1年を切っていますので、4月(できるだけ早く)から塾・予備校に通うべきです。

学期途中から塾・予備校に通うケース

 学期途中から塾・予備校に通うケースも考えられます。「勉強が難しくなってきた」「学習習慣が崩れてきた」と感じたら、学期途中でも塾・予備校に入るのを検討しましょう。定期テスト対策をしてくれる塾の場合、定期テスト前から通い始めるのもおすすめです。

 学期途中なら、1週間のスケジュールを組みやすいのもメリットです。5月頃になれば、高校生活にも慣れてきて、何曜日のどの時間なら塾・予備校に通えるかの見通しを立てやすくなっているはず。時間的な都合で集団指導塾が受講できない場合は、個別指導塾を検討するなど、自分の生活スタイルに合わせた受講がしやすいでしょう。

「学期途中から塾・予備校に通うとカリキュラムが中途半端にならないか」と心配な生徒もいるかもしれませんが、勉強でわからないことが増えていくより、途中からでも学習を身に付けていくことの方が大切ですので、思い立ったら塾・予備校に通い始めるのがよいでしょう。

夏期講習から塾・予備校に通うケース

 夏期講習も、塾・予備校に通うタイミングとしておすすめです。夏休みは比較的勉強時間が取りやすいので、勉強の遅れを取り戻すのにも適しています。また、夏期講習では短期間でそれまでの学習範囲を復習するカリキュラムが組まれていることが多く、新規生でも塾・予備校に通いやすいタイミングであると言えます。

 特に、国公立大学や難関大学を目指す生徒は、高校2年生の夏頃から塾・予備校に通い始めないと対策が間に合わないことがありますので注意しましょう。

大学受験塾・予備校にいつから通うべきか~まとめ

 大学受験塾・予備校にいつから通うべきかは、生徒一人ひとりの状況によって異なります。国公立大学を目指している生徒や医学部などの難関学部を目指している生徒は、早い時期から塾・予備校に通うのがおすすめです。また、総合型選抜や学校推薦型選抜の利用を検討している生徒も、高校での評定平均を高くするために早期に塾で学習のサポートを受けるのがよいでしょう。

 本記事を参考にして、高校生活とのバランス、志望校の受験科目や難易度、現在の学力などを総合的に判断して、いつから通うのかを決めるようにしましょう。

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 受験対策が遅れてしまった場合の対策として、どの教科をどのレベルまで仕上げるかをプランニングすることも重要になってきます。入試においては100点を取る必要はありません。それよりも、70点を切らないように安定して点数が取れるようなテクニックを身に付けることの方が受験対策としては効果的です。ただ、このような見極めは難しい部分もありますので、プロの講師に指導を受けながら、受験戦略を練るようにしてください。

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