大学では本人が学びたいことを学ばせればいい?
まず1つ目として中橋さんは、大学では本人が学びたいことを学べばいい、という保護者世代によくある考え方を挙げます。小林さんは、その考え方自体は否定していません。ただし、現在は世の中のトレンドや将来のキャリアプランから逆算して、学部・学科を選ぶ受験生が増えている、と説明します。
たとえば、数年前は情報・データサイエンス系が人気だったのに、最近は電気電子系への注目が高まり、偏差値が上がっているそうです。AIの広がりという世の中の動きから、情報・データサイエンス系よりも、半導体やデバイスに関連する電気電子系の分野に向かう受験生がいる、という話です。
もちろん、保護者が子どもに、興味のない分野を無理に選ばせるのは違う、と小林さん。ただ、将来の方向性やキャリアを考えるなら、「好きなところでいい」と放任するのではなく、本人の関心と社会の動きを見ながらサポートすることが大切だと語ります。
偏差値だけで難易度を判断するのは難しい
次に中橋さんが取り上げるのが「とにかく偏差値が重要」という見方です。しかし、今は偏差値だけで難易度を判断することには疑問があると指摘します。
理由として、小林さんは、同じ偏差値でも入試形式や科目数、英検利用、共通テスト利用などによって、実質的な難易度が異なるという点を挙げます。単純な上下ではなく、ある方式を使って難しくなる場合もあれば、受かりやすくなる場合もある、とのこと。したがって、ケースごとに情報を駆使する必要がある、と話します。
中橋さんは、確かに偏差値は分かりやすい指標ではあるものの、より深いデータにまでアンテナを張ることが大事だと付け加えます。
「浪人すれば伸びる」と思い込むのはかなり危険
中橋さんは、3つ目に「浪人すれば伸びる」という保護者の考え方を挙げ、危険だとします。ただ、今の時代も、浪人してきちんと勉強すれば成績は伸びることに変わりはない、という小林さん。しかし、一番の問題は、今の受験生の多くがそもそも浪人を望んでいない点だと指摘します。
保護者が「もう1年がんばればよい」「浪人を応援したい」と考えていても、本人は現役で私立大学や滑り止めに進学するつもりだという家庭は、実際にとても多いそうです。そのため、親が浪人を前提に計画していると、本人の考えとずれたまま、違う方向に着地する可能性がある、と注意を促します。
「有名大学に行けば就職は安心」という誤解
4つ目として中橋さんが挙げるのは「有名大学に行けば就職は安泰」という考え方です。小林さんは、有名大学でも就職先にはかなり幅がある、と解説。イメージ通りの有名企業へ進む上位層もいれば、第3志望・第4志望に行く中間層、思い通りの企業に入社できない下位層もいる、説明します。
今は売り手市場で内定自体は取りやすいにしても、学歴だけで評価されるわけではなく、コミュニケーション力、筆記試験の基礎学力、面接での受け答えなども問われるためです。つまり、大学入学後も努力やスキルアップは必要。小林さんは、本人の年齢が年齢だけに、保護者の姿勢としては「有名大学だから安心」という概念を捨て、応援するしかない、と意見を述べます。
また、今の大学生は、起業やYouTuber、フリーランスなど、就職以外の道を考える人もいる、と補足。保護者は頭ごなしに否定するのではなく、まず話を聞く姿勢を持ってほしい、と助言します。
「塾に通えばGMARCHには行ける」は通用しない
最後に中橋さんが紹介するのが「塾に通えばGMARCHや関関同立には行ける」という保護者の感覚です。小林さんは、昔との違いとして、入試の方向性の変化を指摘。以前は、全学部入試や個別学部入試、共通テスト利用(センター試験利用)などで比較的大きな募集枠があり、データを持つ塾が「狙い目」を助言することに効果があった、と説明します。
しかし、現在は、英検利用、総合型選抜、学校推薦型選抜など、入試方式が多様化。募集枠や方式が細かく分かれ、YouTubeなどで倍率情報も広く共有されます。そのため、かつてのような穴場はなく、どこを狙うにしてもハードルが高くなっている、といいます。
年内入試や英検利用をうまく活用できる受験生もいるものの、準備にはかなり時間が必要。高3の4月から「とりあえず塾に行って勉強すれば受かる」という考えでは難しくなっている、ということです。
まとめ
中橋さんのまとめによると、保護者世代の考え方がすべて間違っているというわけではありませんが、注意点は押さえておいた方がよさそうです。最後に小林さんはポイントとして、今の入試は単純に昔と逆という話ではなく、別の観点から見る必要がある、と話します。今回伝えた話を参考に、子どもの受験勉強をサポートしてほしい、と保護者に向けて語りかけています。(次ページに解説動画あり)
