「いじめの四層構造」を理解する

図:いじめの四層構造 いじめの場の空気を最初に変えるのは「傍観者」
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 上に2つの図を載せました。日本の教室内で「いじめ」が起こる場合、被害者と加害者という当事者のほかに、いじめをはやし立てる「観衆」と、その周囲で無関心を装う「傍観者」という4つの存在があります。この構造は「いじめの四層構造」 と呼ばれます。

 四層構造の各立場は互いに影響を与えており、傍観者の中から仲裁者やいじめに否定的な者が現れれば、いじめに対する抑止となり、逆に、面白がったり見て見ぬふりをしたりすれば、いじめを増幅させるといいます。

 私はこの四層構造論をベースに、図中に矢印を書き加えることで、それぞれの層の間の力関係を表してみることにしました。この矢印を、より身近な言葉で説明すると「空気」ということになります。図1は、観衆や傍観者が「YES」の空気を出すことで「いじめ」がエスカレートしていく様子を表しています。図2は逆に、観衆や傍観者が「NO」の空気を出すことで「いじめ」の重大化を抑制していく様子を表します。

 そして、この事例にはもう一つの大きな論点があります。それは、「自分がAさんの立場だったら、Cさんに行われている『いじめ』を目の当たりにして、具体的にどのような行動を取るか」ということです。ここでは、“理想(=きれいごと)”や“正解”は不要です。「自分だったら実際に何ができるか」を真剣に考えてもらいます。

※詳しくは、森田洋司『いじめとは何か』(中公新書)を参照