学年別の高校受験塾の開始時期

 難関校を志望校にしている場合は早めに塾に通うべきですが、塾に通い始めるベストなタイミングは子どもの学力や家庭の状況によって様々です。ここでは、それぞれの学年で塾を始めるメリットや注意点について解説します。

中学生が塾に行っている割合は?

 中学生の通塾率については、文部科学省が公表している「令和3年度子供の学習費調査」が参考になります。この調査結果によると、中学生の通塾率は以下のようになっています。

学年 公立中学校 私立中学校
中学1年生 57.8% 51.6%
中学2年生 69.2% 53.4%
中学3年生 84.0% 56.7%

参照: 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」

 これらの調査結果から、中学1年生時点で半数以上の生徒が塾に通っており、学年が上がるにつれて通塾率が高くなっていることがわかります。また、私立中学校よりも公立中学校の生徒の方が通塾率が高く、公立中学校の3年生では84%もの生徒が塾に通っていることがわかります。

中学1年生から塾を始めるメリットや注意点

 中学1年生から塾を始めると、「主要科目で好成績を取ることが望める」「学習習慣が身に付く」「苦手科目をつくらずに学習を進めやすい」などのメリットがあります。

 学習塾では、1教科の受講も可能ですが、国数英の3科目、または理社を含めた5科目で授業を行っているところがほとんどです。主要科目で好成績を収めることで、高い内申点を取ることが望めるので、受験に有利になります。

 また、毎週決められた時間に通塾し、塾から出た宿題に取り組むことで、学習習慣が身に付きやすくなります。中学校に入ると、小学校のころとは生活リズムが変化します。学校や子どもによって異なりますが、部活動が始まったり、宿題を毎日提出しなくてよくなったりして、学習習慣が乱れやすくなります。

 しかし、塾に通うことで、学習習慣が身に付くため、「勉強するのが当たり前」という意識で中学校生活を送ることができるようになります。さらに、中学1年生から学習の基礎固めをしておくことで、教科に対して「苦手」という意識が付きにくくなります。勉強に対して苦手意識がなくなることで、前向きに学習に取り組めるようになります。

 中学1年生から塾を始める注意点としては、塾代が高くなることです。塾代の詳細については後述しますが、中学3年生から通塾を始める場合と比較すると、多額の費用がかかることになります。

 また、中学生になって部活動が始まったり、生活習慣が変化したりすることも注意するべきポイントです。子どもに大きな負担をかけすぎないように、体力的にも精神的にもサポートできる体制を整えることが重要です。

中学2年生から塾を始めるメリットや注意点

 中学2年生から塾を始めるメリットは、入試を見据えて比較的長期的な学習スケジュールを立てやすいところです。復習する範囲が中学1年生の学習内容に絞られるため、弱点の分析や苦手の克服もしやすくなります。また、中学3年生の学習を早くスタートすることで、過去問演習の時間も確保しやすくなります。

 特に、中学2年生の内申点が高校受験に影響する場合は、このタイミングで入塾して定期テスト対策をするのが効果的です。また、中学2年生になって「勉強が難しい」と感じている生徒は、わからないことが増えていく前に対策を立てるようにしましょう。

 一方で、中学1年生までの生活リズムと大きく変化することに注意する必要があります。部活動や生徒会活動で忙しい中、さらに塾を始めるとなると、体力的にもかなりの負担になります。しっかりとスケジュールを立てて、無理なく学習を進められるようにする必要があります。

中学3年生から塾を始めるメリットや注意点

 中学3年生から塾を始めるメリットは、子ども自身も受験生としての意識が高まっている時期であり、受験勉強に真剣に取り組みやすい時期であることです。部活動が終われば時間的にも余裕ができますし、学習の環境は整いやすくなるでしょう。また、早く塾に入るよりも塾代を抑えられるため、家庭の経済的負担が少なくて済むこともメリットです。

 中学3年生から塾を始める注意点としては、志望校対策が間に合わないことが挙げられます。難関校を志望していても、それまでの基礎学力が十分に身に付いていなければ、難関校に合格するのは難しいでしょう。

 また、大手の集団塾では、中学2年生の時点ですでに中学3年生の学習内容を勉強し始めているため、先取りで学習を進めている生徒に追いつくためには、相当の努力が必要になります。

高校受験に向けた塾に通うタイミングは?

高校受験の準備をする男女
出典: pixta

 それぞれの学年ごとに、塾に通い始めるメリットと注意点がありますが、塾に通い始めるタイミングも大切です。1年間のうちで、どのタイミングで塾に通うのがいいのかは一長一短ですので、以下を参考にしてみてください。なお、個別指導塾では個別にカウンセリングしてカリキュラムを決めることが多いため、ここで紹介する内容は主に集団塾の内容になっています。

3月、4月(春休み)から塾に通うケース

 高校受験では、3月頃から新学年のカリキュラムが開講する塾が多いため、このタイミングで入塾するのがおすすめです。中学校では、2月から3月頃に学年末テストが行われるため、この時期はその学年の学習状況が把握しやすくなっている時期です。学年末テストであまり点数を取れていないようであれば、早期の入塾を検討する方がよいかもしれません。

 また、小学6年生の3月から通塾を開始すれば、中学校の先取り学習ができるため、中学校の学習をスムーズに進めやすくなります。さらに、春休みは部活動も少なくて勉強に集中しやすい時期ですし、子どもも新学期の始まりをきっかけに気持ちが勉強に向きやすい時期でもあります。

夏休みから塾に通うケース

 夏休みは、学習時間をたくさん確保しやすい期間です。受験対策をするにも、苦手科目の克服をするのにも絶好のタイミングと言えるでしょう。

 塾にもよりますが、夏期講習のカリキュラムにはそれまで学習した単元の復習が含まれていることが多いので、スタートで出遅れてしまったと感じている生徒にもちょうどよいタイミングです。また、中学3年生の秋からは志望校別の対策が始まる塾も多く、中学3年生で塾に通うなら夏期講習が最後のタイミングと言っても過言ではありません。

 夏期講習なら時間的に他の塾との掛け持ちが可能なこともあるため、いくつかの塾を検討している場合は、夏期講習に通ってどの塾に入るか決めるという方法もありでしょう。ただし、夏休みは大会に向けて部活動が忙しくなる生徒もいます。しっかりとスケジュールや自分の学力状況を確認して、無理なく通えるように受講する教科やコースを選択しましょう。

冬休みから塾に通うケース

 冬休みには、冬期講習が行われます。復習中心の塾では、1学期・2学期に学習した内容を総復習するカリキュラムが組まれていることが多いようです。予習中心の塾では、3学期や新学年の予習をするためのカリキュラムが組まれていることもあります。復習をするために通塾したいのか、予習をするために通塾したいのか、目的に合った塾を選ぶことが大切です。

 また、中学2年生や中学3年生のカリキュラムが始まるタイミングで入塾を検討している方にとっては、冬期講習を体験授業の代わりにして塾を決定するという方法もあります。