予約型奨学金とは
日本学生支援機構(JASSO)では経済的に困窮している学生に向けて、大学進学前に予約ができる奨学金を用意しています。また、予約ができる奨学金制度を独自に設けている大学もあります。制度の内容は大学によって異なっていますので、首都圏私立大学で予約型奨学金を設けている大学を例に比較してみましょう。
大学と奨学金名 | 申請期間 | 対象 | 地域条件 | 給付金額 | 給付期間 | 採用候補者数 |
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早稲田大学 |
第1回/10月9日〜11月8日 第2回/12月17日~1月17日 (Web申請) |
・一般選抜 ・大学入学共通テスト利用入試 ・総合型選抜、 ・学校推薦型選抜(指定校推薦入試を含む) ・系属校推薦入試(摂陵・佐賀) |
一都三県以外 |
入学学部に応じ、 毎年45・65・70万円 |
4年間継続 |
1,200人 (2回の合計) |
慶應義塾大学 |
10月28日〜11月25日 |
・学業成績優秀 ・一般選抜利用 |
一都三県以外 |
年額60万円 (医学部は年額90万円、薬学部は年額80万円) ※入学2年目以降、成績優秀者は増額 |
最長4年 (医学部・薬学部薬学科は 最長6年) |
550名以上 |
明治大学 「おゝ明治奨学金」 |
10月11日〜11月8日 |
・評定平均値3.8以上(5段階評価) ・一般選抜利用 |
— |
1年次、入学諸費用から授業料年額1/2相当額を減免 2~4年次、在籍年次の春学期中に授業料年額1/2 相当額を本人口座へ給付 |
4年継続 | 1,000名以内 |
青山学院大学 |
第1回/11月5日〜11月26日 第2回/1月6日~1月20日 |
・一般入学者選抜 ・大学入学共通テスト利用入試 (推薦入試等特別入試利用の場合は不可) |
一都三県以外 | 年額50万円 | 原則4年間の継続 | 約350名 |
上智大学 |
受験する入試の 種別ごとに異なる |
・学業成績優秀 ・上智大学への入学を第一志望とする |
— |
初年度の授業料相当額、授業料半額相当額、 授業料1/3相当額のいずれか |
— |
77名 (2021年度) |
学習院大学 「目白の杜奨学金」 |
11月1日~1月22日 |
・評定平均値3.5以上(5段階評価) ・一般選抜(共通テスト、コア試験、プラス試験) |
一都三県以外 | 100万円 |
入学年度に限り給付 (入学後、2回に分けて 給付予定) |
100名 |
法政大学 |
11月1日~11月30日 |
・評定平均値3.8以上(5段階評価) ・一般選抜 (T日程入試、英語外部試験利用入試、A方式入試、 大学入学共通テスト利用入試 B方式・C方式) |
一都三県以外 |
文系学部:入学時 年額38万円 (2年次以降は年額20万円) 理工系学部:入学時 年額43万円 (2年次以降は年額25万円) |
4年間継続 | 200名 |
明治学院大学 「白金の丘奨学金」 |
11月1日~11月30日 |
・評定平均値3.6以上(5段階評価) ・一般入学試験(全学部日程・A日程・B日程) ・大学入学共通テスト利用入試 |
一都三県以外 | 年額40万円 | 4年間継続 |
約200名 (予定) |
専修大学 |
第1回/11月6日~11月24日 第2回/12月4日~1月10日 ※2024年度データ |
・評定平均値3.5以上(5段階評価) ・大学入学共通テスト利用入試 ・一般選抜(全国・前期・後期入学試験) |
一都三県以外 | 授業料の半額相当額 | 原則4年間継続 |
第1回/120名 (全学部全学科) 第2回/80名 (全学部全学科) |
立教大学 「自由の学府奨学金」 |
11月上旬公開予定 |
・評定平均値3.5以上(5段階評価) ・自由選抜入試 ・国際コース選抜入試 ・アスリート選抜入試、 ・一般入試 ・大学入学共通テスト利用入試 |
一都三県以外 |
年額50万円 理学部年額70万円 |
原則4年間継続 | 400名 |
首都圏私立大学の予約型奨学金の一例
青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」
項目 | 内容 |
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申請期間 |
第1回/2024年11月5日(火)~2024年11月26日(火) 第2回/2025年1月6日(月)~2025年1月20日(月)
※国の制度との併願・併給は不可といたしますので、当該制度の申請者が本奨学金に申請できるのは、国の制度の採用発表後の第2回申請期間のみとなります |
対象 | 2025年度一般入学試験または大学入学共通テスト利用入学試験で青山学院大学を受験する者(推薦入試等特別入試利用の場合は不可) |
地域条件 | 東京都(島しょ部を除く)、神奈川県、埼玉県および千葉県以外の道府県に父母(父および母がいない場合は、代わりに家計を支えている者)が居住し、入学時より本学へ自宅外から通学する者 |
収入要件 |
「令和6年度所得証明書(令和5年分の収入・所得がわかるもの)」に記載の収入・所得を父母合算した金額が以下の者
1.給与・年金収入金額(税込):800万円未満 2.その他、事業所得金額:350万円未満 上記1、2双方の収入・所得がある場合には、合算して総合的に判断 |
給付金額 | 年額50万円(給付) |
給付期間 |
原則4年間の継続支給
※毎年の進級時に学業成績および家計状況による継続審査あり |
採用候補者数 | 約350名(予定) |
選考結果 |
第1回選考結果通知 / 2024年12月下旬予定 第2回選考結果通知 / 2025年2月中旬予定 |
青山学院大学には「地の塩、世の光奨学金」があります。一都三県を除く、経済的理由で進学が困難な学生に給付奨学金を用意しています。一般入学試験、または大学入学共通テスト利用入学試験で青山学院大学を受験する人が対象です。
給付額は年額50万円。原則4年間の継続支給ですが、毎年進級時に学業成績と家計状況の審査があります。採用候補者数は約350名。申請期間は第1回が11月5日〜11月26日、第2回が1月6日〜1月20日です。
上智大学「上智大学新入生奨学金」
項目 | 内容 |
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申請期間 |
受験する入試の種別ごとに異なります。おおむね入試の出願期間と同時期となりますが、一部の入試では奨学金の出願期間が入試出願期間と異なります
※複数の入試種別で受験される方は、入試ごとに新たに新入生奨学金に出願する必要があります |
対象 | 上智大学への入学を第一志望としながらも、経済的理由により入学が困難で、かつ上智大学に入学する以前の高校の成績が優秀な者 |
要件 | 学業成績・家計(経済状況)等の総合評価によって決定します |
減免額 | 初年度の授業料相当額、授業料半額相当額、授業料3分の1相当額のいずれか |
採用候補者数 | 77名(2021年度) |
上智大学には「上智大学新入生奨学金」があります。上智大学を第一志望としながらも経済的理由で入学が困難な学生を対象に、入学初年度の授業料を減免する奨学金です。減免額は初年度の授業料相当額か授業料半額相当額、授業料3分の1相当額のいずれかで、学業成績と家計の経済状況の総合評価で決定します。
2021年度の採用実績は77名ですが、上智大学には他にも併願できる奨学金がいくつかあるので、そちらを利用するのもよいでしょう。
法政大学「チャレンジ法政奨学金」
項目 | 内容 |
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申請期間 | 2024年11月1日(金)~11月30日(土)最終日消印有効 |
対象 |
2025年度一般選抜(T日程入試、英語外部試験利用入試、A方式入試、大学入学共通テスト利用入試 B方式・C方式)を受験する者 高等学校(中等教育学校の場合は後期課程)におけるすべての教科・科目を含む学習成績の状況(評定平均値)が「3.8以上」である者。卒業見込みの者は最終学年1学期(前期)までの成績で審査、卒業した者は最終学年3学期 (後期)までの成績で審査 |
地域条件 | 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県以外 |
収入要件 |
父母が給与所得者の場合は収入金額(課税前)、自営業等給与所得以外の場合は所得金額で見て、2023年父母合計の金額が600万円以下であること(ただし、自営業等給与所得以外の所得金額部分は197万円以下であること)
※父母それぞれの所得証明書(課税・非課税証明書)の年収・所得を合算してください。 ※所得証明書(課税・非課税証明書)は、申請時における最新のものを用いてください |
給付金額 |
文系学部:入学年度 年額38万円(2年次以降は年額20万円) 理工系学部:入学年度 年額43万円(2年次以降は年額25万円) |
給付期間 | 入学後1年間 前年度までの学業成績、家計状況がわかる書類等に基づく審査を毎年受けることで、入学年度を含め4年間の最短修業年限期間中の継続受給が可能 |
採用候補者数 | 200名 |
選考結果 | 12月下旬 |
法政大学には「チャレンジ法政奨学金」があります。法政大学に入学希望の学業成績が優秀(評定平均値3.8以上必要)な、一都三県以外の学生に支援が行われる奨学金です。
給付金額は入学時に文系学部が38万円、2年次以降は年額20万円、理工系学部が入学時に43万円、2年次以降は年額25万円。入学後に毎年行われる継続審査を通れば4年間受給可能です。
採用候補者数は200名。申請期間は11月1日から11月30日です。
予約型奨学金を選ぶ際のポイント
大学独自の進学前に予約できる奨学金は、ご紹介した通り大学ごとに制度が違ってきます。選ぶポイントとしては、対象者、給付金額、採用候補者数に注目してみましょう。
まず、首都圏私立大学の予約型奨学金では、対象条件に評定平均値を挙げている大学が多くあります。しかし、青山学院大学の「地の塩、世の光奨学金」のように、成績基準を設けていない大学もあります。評定平均に自信がない方は、こういった大学を視野に入れるのもよいでしょう。
次に、給付金額です。給付金額も大学ごとに異なり、また大学によっては学部で給付金額が異なるところもあります。理工系学部や医学部を目指している方は、他の学部よりも給付額や期間が多く設定されている大学があるので、選択の基準にしてみてもよいでしょう。
最後は採用候補者数です。こちらは大学の規模にもよりますが、採用候補者数が100名を切る大学もあれば、1,000名以上の大学もあります。給付条件には先述の評定平均値や保護者の収入要件等が関わってくるため、入学者数に対して採用候補者数がなるべく多い大学を選択したほうが、採用される可能性は上がります。
これらのように、大学ごとの制度をしっかりと確認して、なるべく奨学金を受給できるように大学を選択していきましょう。
首都圏私立大学の予約型奨学金のまとめ
大学進学にあたり、金銭面の問題で悩んでいる方も、ここまで見ていただいたように、現在は大学ごとにさまざまな予約型奨学金が設定されています。首都圏私立大学の場合は、基本的に一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)以外に住んでいる方が対象になっていることや、保護者の収入要件によっては対象にならないこともあり、そういった点は前もって把握しておかなければなりません。
また、給付期間は原則4年間としている大学が多いですが、1年ごとに継続審査が行われるところがほとんどなので、先述の対象条件から外れてしまうと、途中から給付がストップしてしまうこともあります。
申請期間は1か月ほどと短く、大学によって期間も異なるので、こちらも出し忘れがないように早めに大学の公式サイトをしっかりと確認して、対象になりそうな方は積極的に利用していくとよいでしょう。
参照
JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)|進学前に申し込む(予約採用)、早稲田大学|めざせ! 都の西北奨学金(入学前に申請する奨学金)、慶應義塾大学|学問のすゝめ奨学金、明治大学|2025年度 入学前予約型給費奨学金「おゝ明治奨学金(おお明治奨学金)」の募集について、青山学院大学|受験生向け奨学金制度(地の塩、世の光奨学金)、上智大学|学部入学前に出願する奨学金、学習院大学|奨学金について、法政大学|法政大学独自の奨学金、明治学院大学|白金の丘奨学金、専修大学|専修大学独自の奨学金、立教大学|自由の学府奨学金