学校推薦型選抜とは?
学校推薦型選抜とは、一般的に「推薦入試」と言われている入試方式のことです。高校の推薦を受けることで出願することができます。選考方法としては書類審査・小論文・面接などが中心となっていますが、一部の大学では共通テストや独自の学科試験を課す場合もあります。
学校推薦型選抜には「指定校制」と「公募制」の2種類があります。指定校制では、大学が指定した高校の生徒のみが出願することができます。一方で公募制は、大学の求める条件を満たしていれば、どの高校の生徒でも出願できる選抜制度となっています。
指定校制 | 公募制 |
---|---|
大学が指定した高校の生徒のみ | どの高校の生徒も出願可能 |
校内選考に勝ち抜けば入試の合格率が高い | 全国の受験生がライバルになるため、指定校制より合格難易度は高め |
勉強や部活動の成績などを評価して校内選考を行い、選ばれた生徒のみ受験できる | 大学が求める評定などの条件を満たしていれば、どの生徒も受験できる |
公募制は併願が可能な場合がある
推薦入試と聞くと、「合格したら必ずその大学に入学しないといけない」と思われている方も多いと思いますが、公募制の場合は、大学によっては併願受験が許容されていることもあります。
併願可能な大学であれば、合格後に入学しなくても問題ありません。そのため、受験日が被っていなければ公募制で複数の大学を受験することや、公募制と一般選抜のどちらを受験することも可能です。複数の大学を受験しつつ、志望度の高い大学を選択できるというのがポイントです。
注意点としては、併願可能かどうかは大学や学部によって異なるという点です。公募制を併願受験する場合は、しっかりと大学の入試要項を確認する必要があります。
公募制を受験戦略に組み込むメリット・デメリット
公募制は併願受験することができるため、受験戦略に組み込むことでより効率的に勉強ができたり、合格率を上げたりすることができます。上手に利用することで受験を有利に進められますが、メリットだけではなくデメリットもありますので、紹介します。
メリット1:滑り止めを早く確保できる
学校推薦型選抜は一般選抜よりも早く受験が実施されるため、併願可能な大学・学部に合格できれば、早めに滑り止めを確保することができます。実際の出願では、滑り止めはできれば進学したくない大学になっていることが多く、滑り止めやその付近の難易度の大学をいくつか受験し、その対策に時間を取られることがあります。そのため、公募制で志望順位の高い併願校に合格できれば、滑り止め対策に時間を取られず、それ以降の1月・2月では志望度の高い一般選抜の対策に絞ることができます。
時期 | 状況 |
---|---|
11月 | 出願・入学試験 |
12月 | 合格発表:滑り止め確保 |
1月 | 志望度の高い私立大学の一般選抜対策に集中 |
2月 |
※実際の日程は大学によって異なる
メリット2:入試科目数が少ない・基本的な問題が多い
公募制の場合、一般選抜より入試科目が少ない大学が一般的です。例えば、私立大学を見ると「調査書+外国語+国語」など2科目で受験できる大学もあります。面接や小論文などが課される場合もありますが、学力試験のみで受験できる大学を見つけることができます。一般選抜の勉強とは別に対策する必要がないため、効率的に勉強を進めることができます。
また、出題内容まで見てみると、基本的な問題が出題されるケースが多いようです。早いタイミングでまだ発展まで進めていない場合でも、大いに合格できるチャンスがあります。
メリット3:モチベーションを維持できる
受験日が11月・12月となっているため、一般選抜より受験日が早くなります。そのため「夏休みだけど、あと数か月で受験だから頑張ろう」と、一般選抜のみを受験する生徒よりも早いタイミングで気合いが入る生徒が多くいます。そのため、モチベーションを維持するキッカケとしても有効です。
メリット4:受験の練習ができる
大学受験は基本的に一発勝負であるため、慣れていなくて試験中に焦りや緊張が出る生徒もたくさんいます。特に初めての入試となると、思うように力を発揮できないケースもあります。
公募制の早いタイミングで受験ができると、一般選抜に向けて練習することが可能です。受験日までの準備や当日の雰囲気を味わうことができるため、一般選抜の練習という点では大きなメリットがあります。
デメリット1:入学金がかかる
公募制で滑り止めを確保できた場合、本命大学の一般選抜の合格発表前に入学金の納入期限が来る場合がほとんどです。そのため、滑り止めとして確保するためには、入学金を支払う必要があります。基本的にその入学金は返還されないため、無駄な出費になります。
デメリット2:不合格するとモチベーションが低下する場合がある
たとえ志望度が高くない大学の場合でも、不合格となると落ち込んでしまう生徒もいます。勉強に気持ちが入らないとなると、一般選抜に向けての対策がはかどらなくなります。年末から受験日当日までは、最後の追い込みをする特に大事な期間であるため、注意が必要です。
面接・小論文不要!学校推薦型選抜公募制を実施している私立大学3選
滑り止めの確保として公募制を利用する場合には、面接や小論文が出題されない大学を選ぶことが大切です。ただ、全国の入試情報を探すとかなり時間がかかります。そのため、今回は面接も小論文も不要で、基礎学力試験で受験できるおすすめの私立大学を3校紹介します。
【関東】東洋大学
東洋大学では2025年度入試から、併願可能な学校推薦型選抜公募制が導入されることになりました。こちらは基礎学力テストのみで合否判定が行われます。特徴としては以下の通りです。
- 評定基準なし
- 既卒生も受験可能
- 英語・国語または英語・数学
- 英語外部試験スコアを利用可能
英語外部試験のスコアを使うと、スコアに応じて英語の得点に換算することができます。その場合はもう1科目の国語か数学に対策を絞ることができます。東洋大学の場合は、一般選抜や大学入学共通テスト利用入試でも、英語外部試験のスコアを利用することが可能です。こちらも同様に英語の得点を確定できれば、他の科目への対策に絞ることで合格率を上げるという戦略がとれます。
関東の私立大学は併願可能な公募制があまり多くないため、東洋大学は受験戦略上、非常に受験しやすい大学になりました。
※2025年度入試の詳細については2024年6月、入試情報サイトにて公開予定です。
【中部】愛知大学
愛知大学はすべての学部で公募制の併願受験が可能となっています。専願の場合は面接が課されますが、併願の場合は調査書と学力検査のみで受験が可能です。特徴としては以下の通りです。
- 評定基準:3.0以上
- 現役生のみ受験可能
- 調査書+2科目で受験可能
2024年度入試の情報を見ると、公募制の併願の倍率は1.0倍〜2.0倍の学部・学科が多くなっています。倍率が高い学部・学科でも経営学部経営学科の4.8倍です。専願と比較してもそれほど高くないため、併願校として受験するのにおすすめな大学の1つです。調査書の点数もあまり高くないため、評定が3.0以上あれば積極的に出願していくとよいでしょう。
【関西】近畿大学
近畿大学もすべての学部で公募制の併願受験が可能な大学です。近畿大学には、1回の試験で複数回の判定が受けられる併願制度が用意されています。また、英語外部試験スコアを提出することで、得点換算もしてくれます。特徴としては以下の通りです。
- 評定基準なし
- 現役生と既卒1年目の生徒が受験可能
- ほとんどの学部が学力試験のみで受験可能
- 英語外部試験スコアを利用可能
- 1回の試験で複数回の判定が受けられる
2025年度入試 近畿大学 英語外部試験スコアのみなし得点基準
英語外部試験スコアのみなし得点を見ると、英検の2級以上に合格していると換算を行うことができます。その中でも2級に合格し、2,150点以上のスコアを持っていると85点のみなし得点となり、高得点の換算が可能です。
また、受験方式の1つに「高得点科目重視方式」があります。こちらは最高得点科目の点数を2倍に換算する方式となっており、英語外部試験スコアのみなし得点も2倍に換算されるため、スコアを取れていれば有利な条件で受験することができます。理系学部は英検2級合格、文系学部は2,150点以上を受験までに狙うとよいでしょう。
まとめ|受験情報が合格率を上げてくれる!
今回は、学校推薦型選抜公募制について解説しました。ここで紹介した大学以外にも、併願可能な入試を実施している大学はもちろんあります。お近くの大学や志望大学の情報を確認してみてください。
調べる際に時間がかかる場合は、学校や塾・予備校の先生に相談してみることをおすすめします。情報戦を制して、大学受験を有利に進めていきましょう。