自由が丘の中学受験塾に子どもを通わせる3人のママ
Aさん:世田谷区・二子玉川に住んでいて、金融機関で事務の仕事をしています。娘が小学3年の冬から自由が丘SAPIXに通っていましたが、転塾して今は別の中堅校対策の中小塾に通っています。
Bさん:世田谷区・用賀在住で専門商社に勤務しています。息子が小学4年の2月からグノーブル自由が丘校に通っています。真ん中ぐらいのクラスにいます。
Cさん:目黒区在住でメーカーの営業です。小学4年から自由が丘の日能研に通っていました。受験は終了しています。本人の希望する学校に合格できて満足しています。
司会:自宅近くにも塾はあると思いますが、自由が丘の塾を選択された理由を教えてください。
Aさん:「SAPIXの自由が丘校は早く入塾しないと締め切られてしまう」と聞いて、焦ってしまったんですよ。限定品を今買わないとなくなっちゃうみたいな感覚にとらわれてしまって。それで小学3年の冬の講習からSAPIX自由が丘に入れました。
Bさん:自宅の近くにもSAPIXがありますが、自由が丘校に入れなかった子たちが流れてくるって聞きました。わが家の場合、地元の塾だと同じ小学校の子が多そうだったので、自由が丘に通わせることにしました。SAPIXやグノーブルは基幹校なので優秀な先生が多いのかなという期待もありました。入塾テストを受けたら、SAPIXでは下位のクラス、グノーブルなら真ん中ぐらいのクラスになりました。真ん中ぐらいに位置した方がいいのかなと思ってグノーブルにしました。
Cさん:私は中堅企業の営業なので、貧乏暇なしって感じでとにかく忙しいんですよ。それで子どもを近所の日能研に入れたら、自由が丘のTM(トップオブマスター)クラスに招待されたんです。本人がTMに通いたいというので校舎を変更しました。
※TM(トップオブマスター)クラスとは?:日能研全国テストで一定の成績をおさめた子どもだけが入会できる選抜クラス。自由が丘校、武蔵小杉校、たまプラーザ校、池袋校、大宮校などの大規模校舎に設置されている。
Bさん:すごい! TMクラス! 噂には聞く日能研関東の選抜のエリートクラスですよね。
Cさん:その末端でした(笑)。それにTMに選抜されても、本気でやる気を出した御家庭だと自由が丘SAPIXに転塾させていましたよ。
Aさん:日能研からSAPIXに転塾してくる子は優秀だと聞きました。
Cさん:そうなんですよ。軽々と筑駒に受かるような子でした。その子が地元の校舎でダントツのトップで、2番手はガクッと落ちてうちの子(笑)。
Bさん:謙遜しすぎですよ。偏差値65の子でもTMクラスには招待されないって聞きましたから。
サイゼリヤ自由が丘店が人気スポット
司会:自由が丘にお迎えに通われて、不便な点はありますか。物価が高い街というイメージですが。
Aさん:SAPIXはお弁当がないから、授業の後、娘はお腹を空かせています。帰り道に娘が「あのお店でご飯を食べていこう」というけれど、店の前に出てるメニューの値段を見るとお高いので、ファーストフードかサイゼリヤに寄っていましたね。
Bさん:自由が丘のサイゼリヤ! うちもよく行きました。テストの後に子どもにハンバーグを食べさせて、私が丸付けをしていたら、横の席でも同じことをしている親子連れがいました。安くて、長居できて、子どもがお腹いっぱいになるのはサイゼリヤ一択になっちゃうんですよね。
Aさん:ファーストフードより落ち着きますしね。あと、困ることといえば、自由が丘は駅の構造が複雑ですよね。それもあって、小学3年の冬期講習の時は夫がリモートワークを抜け出して送って、私がお迎えに行っていました。2月からは友達と一緒に通ってくれるようになりました。
Bさん:私は会社帰りにお迎えに行くんですが、早くに自由が丘に着いてしまうことがあります。そういう時に時間を潰すカフェがないんですよね。ドトールが混んでいて入れない時に、近くのカフェに入ったら、コーヒーだけで700円ぐらいかかってしまって(泣)。ワンコインを超えると辛いですね。
Cさん:お2人ともちゃんと送り迎えをされていたんですね。私は送迎はしなかったですね。
Aさん:SAPIXの自由が丘校では、車でお迎えにくる人たちがいて、近所からクレームがな
Cさん:クレームをいうのは自由が丘に住んでいる方々ですよね。そういう住宅地っぽい雰囲気は通わせるにはいいですよ。繁華街ではないから、酔っ払った会社員に混じって、子どもが帰ってくるということもないでしょう。
Aさん:そうですね。例えば池袋の西口方面は歓楽街なのに、そこに大手塾の校舎があるんですよ。そういうところだと子どもを1人で歩かせるのはちょっと抵抗がありますよね。
Bさん:うちの子も行きは1人で通っていますが、特にストレスはないみたいです。私がお迎えに行けなくても、帰りは駅まで先生が送ってくれますし。
Cさん:自由が丘が塾銀座として発展したのはそういった子どもを通わせやすい雰囲気があるからかもしれません。お弁当も私は作れないんですが、駅ナカや駅前にコンビニなどもあって好きなものを買って通っています。
塾によって生徒の学力層が異なる
司会:それにしても、自由が丘にはたくさんの塾がありますね。中学受験塾だけで何十もあります。大手塾以外にも中小塾も多いですね。
Aさん:家庭教師の先生がいっていました。「人気のラーメン店の近くにラーメン店が乱立するのと同じ。人気のラーメン店は混んでいるから入れないと近くの他の店に行くでしょう。それと同じです」。大手塾についていけない子がたくさん出てきて、他の塾を探し始めます。それを待ち構えている塾がたくさんあるわけです。うちもそのパターンでした。SAPIX偏差値48を切ったので、転塾を決めました。
Cさん:SAPIX偏差値で48って日能研偏差値58くらいですよね。日能研なら校舎によっては一番上のクラスになりますよ。
Aさん:はい。自由が丘の面倒見のいい中小の塾に移ったら、一番上のクラスになりました。塾がたくさんあるから、塾によって通う生徒の学力層が分断されているのが塾銀座の特徴だと思います。
Cさん:そうかもしれませんね。うちの近所だと選択肢がないから日能研に筑駒に受かるような子も入ってきますが、自由が丘だとSAPIXに行ってしまう。でも、TMクラスにもSAPIXやグノーブルから来た子がいたような記憶が。
Aさん:そういう子はついていけないんじゃなくて、親御さんが学習のフォローができないから、転塾させるっていうパターンだと思います。SAPIXでαクラスにいた子もZ会の御三家対策塾のエクタスに転塾していましたよ。面倒見がいいっていう理由で。
Bさん:うちもそのパターンで転塾させたいんですよ。わりとゆるい部署にいたのが、異動して忙しくなってしまって。今、たぶん、日能研偏差値でいうと62ぐらいなんですが、そのぐらいの学力だと、どこに行ったらいいのかも分からないんですよね。
エクタスは御三家対策塾だからうちの子には難しすぎます。かといって、本を出している有名な先生たちがやっている自由が丘の塾って、日能研偏差値50ぐらいの塾がターゲットでしょう。それだとちょっと物足りないかなって考えちゃうと、合う塾が自由が丘にはない。
Aさん:SAPIXを辞めて、家の近くの早稲田アカデミーや四谷大塚に転塾した子もわりといますね。うちの場合、Bさんと同じで地元の塾だと同じ小学校の子が多いから自由が丘の塾に転塾させました。
Cさん:同じ小学校の子がたくさんいるといろいろと噂が拡がるんですよね。うちの子も自由が丘のTMクラスに移ったことを、同じ小学校のママたちがみんな知っていて、えーって感じでした。「開成を受けるの? すごいわね」ってちょっと意地悪なニュアンスで質問してくる人もいました。
Aさん:勉強ができても苦労があるんですね。うちも頑張ります。同じ自由が丘の他塾の生徒さんの親御さんと話ができて嬉しかったです。
司会:お忙しいところありがとうございました。
まとめ
自由が丘は日本最大級の塾銀座。選択肢が多いがゆえに、入塾してくる生徒の学力が塾によって分かれている。そういった意味ではカーストがハッキリと存在するエリアでもある。難関校対策の塾は合格実績で競い、中堅校対策の塾は面倒見のよさで差をつけようとする。塾をこれから選ぶ場合は、もしかしたら自分の子どもにあった塾に出合えるかもしれない街なので、通える範囲に住んでいたら、一度は足を運んでみてもいいだろう。