いきなりの東弁会長立候補で
マスコミが飛びついた

 09年の東弁会長選、石丸はこれに立候補した。当時、司法修習期56期、36歳と若かったから、耳目を引いたものだ。

 急成長を遂げる弁護士法人のトップを務めるやり手弁護士――石丸のハンサムな見た目も相俟って、マスコミはこぞって彼を取り上げた。だが、東弁に属する弁護士たちはもちろん、全国の弁護士たちも、これを苦々しく思っていたという。「会長選を自分の事務所の宣伝に使いやがって…」。

 前出の元関西の弁護士会副会長経験のある弁護士は言う。

「通常、単位会の会長は弁護士経験25年くらいのベテランが請われて立候補するものだ。その多くは中堅からベテランの初めの時期に、副会長を経験している。そこにちょっと儲けている若手の、行儀知らずの弁護士の立候補となると、真面目な弁護士は気分悪いよね」

 この会長選立候補以降、弁護士間のみならず、裁判所では実務を切り回す裁判所事務官の間で「申し訳ないがアディーレの先生(弁護士)の作った書面は法律専門家のそれに達していない」、「アディーレの先生方は、まるで素人のような質問をしてくる」との評判が立つようになっていった。

 こうした話は、当然、裁判所事務官を通して、判事や、地元の弁護士の間にも伝わっていく。

 弁護士と、判事や検事は、司法修習期を軸として縦横のつながりが強い。また、判事、検事も退官後の弁護士登録を考えると、決して弁護士を邪険に扱うことはできないという。だから、弁護士に嫌われれば裁判所でも嫌われる、ということが起きるのだ。

 ちなみに、弁護士の世界でいう年齢とは「実年齢」ではなく「司法修習期」を指す。その内情は、やはり「同期」を大切にする官僚の世界を彷彿とさせるものがある。

 また、出身大学も重要だ。弁護士界では、司法試験合格者を多数輩出している東京大学を筆頭に、私大では早稲田、中央といった大学の法学部出身者が「幅を利かす」(地方の国立大学出身の弁護士)という。
 
 司法制度改革による日本版ロースクール「法科大学院」制度の設立後も、これらの大学の系統を引く法科大学院出身者が多数を占めている。現行司法試験(いわゆる新司法試験)よりも難関といわれた旧司法試験合格組といえども、横浜国立大第二経営学部出身という石丸の経歴は傍流扱いだ。