メーカーの採用力 待遇・人事の真実Photo:JIJI

かつて品質不正やパワハラ自殺が起こった三菱電機で、組織改革が実を結びつつある。社風の改善だけでなく、若手でも高給を得られる給与体系を導入するなど、社員が働きがいを感じられる制度の導入が進んでいるのだ。連載『メーカーの採用力 待遇・人事の真実』の本稿では、三菱電機の変革の全貌を明らかにするとともに、その成果と課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

相次ぐ不正発覚から4年
三菱電機で進む組織風土改革

 かつて組織風土に起因する問題が続発していた三菱電機で、組織改革が実を結びつつある。

 三菱電機では、2010年代からパワハラや過労による社員の自殺、検査不正が相次ぎ、旧態依然とした社風を変革する必要性が指摘されていた。その上、三菱電機に限らず人手不足が常態化している製造業では、待遇の改善や多様な働き方などを可能にする人事制度改革を進めなければ、優秀な人材を獲得できない状況にある。

 こうした喫緊の課題に対処すべく、三菱電機では組織風土改革や人事制度の刷新など次々と手を打っていった。給与体系では年功序列を廃しており、一部の優秀な社員は新卒1年目でも800万円の年収を得ることが可能となっている。

 一連の施策が実を結び、次ページのグラフで見るように社員の満足度を示すスコアは少しずつ向上している。功を奏したのはどんな改革だろうか。

 次ページでは、三菱電機の組織変革の全貌を明らかにするとともに、その成果と課題に迫る。