「ゆうパック」はどうなる?日本郵便の「不適切点呼」で露呈した「さらに深刻な問題」とはPhoto:PIXTA

日本郵便が配達員の酒気帯びを確認する点呼を適切に実施していなかった問題で、国土交通省からトラックやバン約2500台の貨物運送許可を取り消す行政処分案を通知された。宅配便「ゆうパック」は維持できるのか。ヤマト運輸や佐川急便など委託先の調整が急務だ。行政処分は6月中にも確定するもようだが、今回明らかになったのは氷山の一角にすぎないかもしれない。日本郵便という組織の欠陥のような大きな要素が隠れている気がしてならないのだ。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

日本郵便の組織の欠陥が隠れている

 6月5日、国土交通省関東運輸局は、日本郵便の一般貨物自動車運送事業許可を取り消す予定だと発表した。日本郵便が、法令で定められた「点呼」を適切に実施していなかったことが理由だ。

 調査によって酒気帯び運転が発覚するなど、常識的に考えられないずさんな業務運営が明らかになった。今回の取り消しで、向こう5年間は許可を再取得できない。かなり厳しい措置だ。

 日本郵便は、不適切な点呼を長年野放しにしてきたとみられる。4月に同社が公表した報告書からは、「点呼はなくても大丈夫」といった従業員の心理が常態化していたのが背景にあると読み取れる。

 事態を重く見た国交省は、日本郵便に対して最も重い処分を下した。今後の調査を経て、処分の対象が拡大する恐れもある。当面、日本郵便は外部への配送委託を増やし、事業の維持に努めることになるだろう。

 ただし、今回明るみに出たのは氷山の一角にすぎないかもしれない。どうも、日本郵便の組織の欠陥のような大きな要素が隠れている気がしてならないのだ。

 かつて公的機関だった体質を改め、組織に残る問題点を出し切って生まれ変わる覚悟で改革に取り組まなければ、国民から信頼される企業にはなり得ない。