
故田中角栄氏の功績により、かつての中東には親日の国が多くありました。中東戦争の際、アメリカからのイスラエル支援の要請を突っぱね、日本は戦争に加担せず中立の立場を貫いたことで信頼を得たのです。ところが、この2年間で中東での日本の評価は中国や韓国、インドに抜かれ、4位に転落……。なぜ、日本は信頼されなくなってしまったのでしょうか? このままでは、中東諸国から石油が入ってこなくなる日が来てもおかしくないのです。
中東における日本の評価は急落の一途
G7広島サミット2023の2週間後に、僕は広島でセミナーを開きました。50人くらいのお客さんが来てくださり、「G7は成功だったと思いますか?」と質問をしてみました。圧倒的に多かったのは「失敗だった」という声です。
ゼレンスキー大統領を招待したというインパクトこそありましたが、みなさんの意見は、広島という核を落とされた街で開催されたのだからこそ、「平和を祈念する」という意思表明をしてほしかったというものでした。しかし、日本はG7の後を追従するように、戦争継続の道に賛同しているのが現状です。
中東には親日の国が多く、その理由として田中角栄氏の功績があります。
イスラエルとアラブ諸国が衝突した中東戦争が起きたとき、日本にはアメリカから「イスラエルを支援しろ」と要請がありました。しかし、時の首相であった田中角栄氏は断った。すでに日本はアラビア諸国から石油を輸入している関係にあったため、「イスラエルの応援をしたら石油が入ってこなく可能性がある。
そうなった場合、アメリカは責任を取れるのか」と突っぱねた。日本は中東戦争に加担せず、あくまで中立の立場を貫きその対応に中東諸国は信頼を置いたのです。
こうしたことから、日本という国は、中東では一目置かれる存在でした。イランからもサウジアラビアからも信頼を持つ日本は、中国に代わって両国の国交を正常化するだけの力だって持っていた。しかし、アメリカに追従している合間に、中国にすべてを持っていかれてしまいました。
いや、もしかしたらそんな外交を発揮するだけのアイデアも胆力もなかったのかもしれません。僕は残念でなりません。もし日本が同じことをしていたら、中東において日本はヒーローになっていたかもしれないわけですから。
この2年間で、中東での日本の評価は著しく低下しています。あるサウジアラビアの経済誌が、同国におけるアジア各国との経済関係の優先順位を発表しています。1位中国、2位韓国、3位インド、そして4位が日本です。かつて1位だった日本は、たった2年間で4位まで転落してしまっています。