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マーケットで成功するための投資の心理学

マイナスや大台にこだわる投資家の習い

林 康史 [立正大学経済学部教授]
【第1回】 2007年10月16日
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 長らく金融の現場にいて、人は、自らの心理的な動きからは逃れられない存在であることを目の当たりにしてきた。1980年代に、そうした分野を研究する行動経済学・行動ファイナンスという学問が米国にあると知って、うれしく思ったことを覚えている。

 この連載では、投資と心の問題をわかりやすく、具体例を交えながら述べたいと思う。

さざ波を大波と感じてしまう心理

 9月7日に発表された米雇用統計は、マーケットの事前予想が非農業部門雇用者数10万人の増加だったのに対し、発表はマイナス4000人だった。増加予想が逆に減少となり、株価もドルも大きく値を下げた。例えば、ドル円は115円台から一気に113円台に大幅下落し、その後、112円台をつけた。

 人は、さまざまな事柄にこだわりを持つ。冷静に考えれば、この経済指標への反応は大きすぎるものだと思うが、マーケットは大騒ぎとなった(意識的か無意識かは別として、マーケットは価格が崩れるかのようなマイナス材料を待っていたという感じはある)。

 例えば、以下の例で考えてみてほしい。

ある経済指標は、+20から-20までの間で動くことが多いとする。

A.マーケットの事前予想が+10だったものが、発表が+8だった。

B.マーケットの事前予想が+1だったものが、発表が-1だった。

どちらのほうがマーケットへの影響は大きいだろうか。

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林 康史 [立正大学経済学部教授]

大阪大学法学部卒。東京大学法学修士。メーカー・生命保険・証券投資信託・銀行で、海外営業・外国為替ディーラー・ストラテジストなどを経験した後、2005年4月から現職。投資の心理に関する著訳書多数。最新刊に、『決定版 株価・為替が読めるチャート分析』(日経ビジネス人文庫)、『バリュー投資』(日経BP社)。立正大学経済学部では、「投資入門(テクニカル分析とシステム入門)」をテーマとする公開講座を開催します(4/14、4/21、4/28。受講料は無料)。講師は林康史氏。問い合わせ先:立正大学経済学部 TEL: 03-3492-7529 E-mailメール: eco@ris.ac.jp


マーケットで成功するための投資の心理学

長年金融の実務に携わってきた著者が、相場における成功や失敗の原因を、人間の心の働きと経済の関係を研究する行動経済学の立場から解き明かす。

「マーケットで成功するための投資の心理学」

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