2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理#7Photo by Yoko Suzuki

マンション相場に異変が生じている。同じ都心の同じ区なのに相場が大きく違ったり、再開発や新築マンションの情報の有無、それにインフルエンサーが発信する情報で相場が動いたりするようになっているのだ。これからマンションを買う・売る人はどうやって相場を読めばよいのか。特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#7では、マンション売買インサイダー座談会の中編をお送りしよう。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

【座談会参加者】
●のらえもん @Tokyo_of_Tokyo マンションインフルエンサー、マンションアナリスト
●ふじふじ太 @fuji_fujita_kun 東京湾岸不動産コンサルティングマスター
●稲垣ヨシクニ @inagaki_kizuna 都心マンションソムリエ
●芝崎健一 @shibasan_towerz タワーマンション専門TOWERZ取締役 YouTube「芝塾タワマン不動産」運営
●デベマン マンションデベロッパーの中の人。開発担当

「新築マンションの広告と情報発信が
周辺エリアの相場も上げてくれる」

――最近、マンションの相場の読み方がよく分からなくなってきた感があります。

稲垣ヨシクニ(稲垣) 再開発による相場のゆがみがかなり生じている。パークシティ中野の価格と中央区の相場が同じですもんね。エリアに新築が出るとつられて中古も上がる傾向が以前よりも強いんですよ。新築の供給戸数がかなり減っているから、新築が注目され、新築を見るという動機付けで中古も見て、新築は買えないから中古を買う――という流れで中古の相場もつり上がる。

のらえもん(のら) つまり新築の広告費が周囲エリアの中古相場も上げてくれる。

ふじふじ太(ふじ太) こういう価格のゆがみって実は情報発信側のわれわれマンションクラスタのせいというのもあるかもですね。SNSが普及して誰でも値上がるエリアと値下がるエリアの情報が手に入る。SNSで話題になるエリアは新築の供給があるエリアで、より安心感が生まれるんですよね。

のら 消費者の「失敗したくない」という心理がすごく強くなってる。だから発信者が多い場所の方に惹かれるっていうのは間違いないでしょうね。

芝崎健一(芝崎) 情報過多による過熱感は若干感じることがあるな。特定マンションの特定住戸にむちゃくちゃ購入希望が重なってて、何かと思ったら有名マンションブロガーがその住戸を薦めてた、とかありました。

デベマン すいません、僕の立場で言うのもアレですが、われわれが供給するマンションは高くなり過ぎてまして。昔だったら町や沿線で探してたのが、同価格帯で広いエリアで探すようになり、湾岸と埼玉と中野を同時に見ている。情報を集めなきゃならない範囲が広過ぎるので取捨選択した結果、目に留まる人が推すエリアに集中しちゃうのは仕方ないのかなと。デベ何社かはインフルエンサーと組んでマーケティングをしたりしてますしね。関係性明示の上でのモデルルーム訪問記事をお願いしたり、デベ社員向けの勉強会に来てもらったり。

マンション価格はこれからも上がり続けるのか。どこかで頭打ちポイントはあるものなのか。誰かが「ババを引く」ことはあり得るのか。そしてあまり注目されていない、今は割安だが今後絶対相場が上がりそうな「あるエリア」とは?そしてこの相場の変調のトリガーとなるものは?次ページからメンバーが詳細に語っていく。