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再生エネルギー買い取り制度が“ガスシフト”を招く矛盾

週刊ダイヤモンド編集部
2010年4月6日
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 太陽光や風力などで発電したエネルギーを、電力会社が一定期間、決まった価格で買い取る「再生可能エネルギー全量買い取り制度」について、経済産業省は4つの試算案をまとめた。“脱化石燃料”を掲げる民主党の主要政策で、今後、全国で一般向け説明会を開き、国民から意見を集める。早ければ2011年度に制度が始まる。

 4つの試算案のうち、潮力発電など新たなエネルギー開発まで前提にしたケースでは、年間買い取り費用が最も高く、1兆6083億円以上と試算された。


買い取り費用は、電気料金に上乗せされ、国民負担となるのは自明だ。負担額は、標準家庭で月額522円以上となる。電力需要の6~7割を担う企業の負担は、年間1兆円を超えると推計できる。

 また、太陽光や風力発電は、天候に左右され、出力が不安定となるため、蓄電池の設置など電力系統の安定化対策も必要で、その費用は、最大で年間約2兆円に上る。

 これらの費用負担を避けようと「ガスシフトが予想される」(経済産業省幹部)という。

 もちろん天然ガスは、石油や石炭などから作る電力よりも安価で、化石燃料のなかでは、石油や石炭に比べ、二酸化炭素(CO2)の排出量が3~4割少なくてすむ。

 しかも、先の試算案では、制度導入によるCO2削減の費用は1トン当たり最大約5万円と見積もられている。これに対し「石油から天然ガスへの燃料転換なら、CO2削減は1トン当たり1000~3000円程度」(池永寛明・日本ガス協会企画部長)と割安だ。

 石油と石炭は、いまだ消費エネルギー全体の7割弱を占める。環境税や排出量取引の導入も予想されるなか、電気料金の負担増を避け、天然ガスへ燃料転換することは、確かに有効な手段となる。

 だが、これでは、化石燃料を使わずに低炭素社会を目指す、そもそもの政策の趣旨とは反する。

 電気事業連合会は「電気以外のエネルギー利用者も、公平に買い取り費用を負担すべき」と言う。その前に、電力会社がコスト削減に努めて料金を引き下げ、国民負担を和らげる努力が不可欠だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

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