経営統合から15年を経て 27年4月に合併を決断した MS&ADの舩曳社長が激白

2025年3月28日、MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険が合併すると公表した。2010年に持ち株会社を設立して経営統合した両社は、15年の時を経て合併を決断したわけだが、その理由は何なのか。MS&ADホールディングスの舩曳真一郎社長に合併を決断した真意を聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

業務改善命令や競争環境の激変
合併新会社で取り組む必要がある

――なぜ、このタイミングで合併を決断したのでしょうか。

 損害保険業界で起こった一連の不祥事により、金融庁から業務改善命令を受けました。それを踏まえて、われわれはお客さまにもっと信頼され、選ばれる保険会社にならなければなりません。そのために必要なのが、ガバナンス体制の強化です。故に、持ち株会社のMS&ADインシュアランスグループホールディングスは監査等委員会設置会社に移行しました。

 もっとも、その実効性を担保するためには、リスク管理部門や内部監査部門の体制が充実して機能しなければなりません。ですが、これら2線、3線が2社体制のために分散しているのはとても非効率です。また、営業部門である1線との距離を近づけるという意味においても、合併して1社になって取り組む必要があります。

 加えて、リスクに対する予兆検知力と自浄能力を強化することで、再発防止のメカニズムをしっかりと作っていくことが大切です。

――競争環境が大きく変わろうとしています。

 政策株の売却や共同保険の在り方も変わります。それに伴ってリスクを引き受ける力に加え、再保険もしっかりと確保する力が必要になりますので、資本力を強化していかねばなりません。

 また今後は、比較推奨販売が厳格化していくことに伴い、分かりやすい商品や販売手法の再構築が必要となります。そのためには、当然ながらシステム的な対応も必要になりますし、価格競争力も一定程度必要となりますので、事業費の構造を改善することが重要となります。

――合併することにより規模で業界ナンバーワンになります。

三井住友海上とあいおいニッセイ同和の合併を決断したMS&ADホールディングスの舩曳社長は、合併新会社をどのような会社にし、両社の社員をどのように処遇しようと考えているのか。次ページでは、両社の社員に対する期待感を含め、今後の経営方針について明かしてもらった。