子育てとは、子どもに同じことを何百万回も言う生活! 誰がやってもそうなるので、どうせ言うなら楽しく言おう
【総フォロワー数31万人】長年の教師生活で多くの親と接したなかから生まれた、熱い思いの詰まった言葉を365個掲載した書籍『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』が、あらゆる年代の親に刺さると話題。親力アドバイザーとして名高い教育評論家の親野智可等氏がいま子育て中の人に伝えたいことがあります。

「そりゃ好かれるわ…」感じがいい子が毎日つぶやいていた言葉Photo: Adobe Stock

 子育て中の方は、わが子によい言葉遣いをしてほしいと願っていると思います。それについて私が思い出すのは、かつて受け持った小学1年生のKさんという女の子のことです。Kさんはごく自然に肯定的な話し方ができる子でした。

 例えば給食のときには「このスープすごくおいしい」「ああ、やっぱり私はカレーが大好き~」と言います。すると、それを聞いていた周りの子たちもつられて「本当だ。これおいしい」と言います。

 授業中にほかの子が発表すると、「すご~い。私、気がつかなった」「○○さんの説明でとってもよくわかった」と言います。それを聞いていた周りの子たちもつられて「そうそう、わかりやすかった」と言います。

 友だちが描いた絵を見ると「○○君て絵がすごくじょうずだね」「色がきれいだね」と言います。昼休みの外遊びから教室に戻ってくると「先生、ドッヂボールがすごく楽しかった」とニコニコ報告してくれます。ほかの子が教室に花を持ってきてくれば、「○○さん、ありがとう。私このお花大好き」と言います。

 先生や友達に何かしてもらったときは、「先生、ありがとう」「○○君、ありがとう」と気持ちのいいお礼を言います。誰かが困っているときは、「○○さん、たいへんだね」と一緒の気持ちになって困ったり共感したりします。

 Kさんと話していると、誰だって明るく楽しい気持ちになってきます。当然のことながら、Kさんはクラスのみんなに好かれていました。そして、ありがたいことに他の子たちもKさん影響を受けて話し方がよくなってきました。

 なぜKさんはこんなに素敵な話し方ができるのでしょうか?それは親御さんに会ってすぐにわかりました。親御さんの話し方がKさんの話し方そのものだったからです。いつも笑顔がいっぱいというところも同じでした。

 Kさんのお父さんとお母さんには、家庭訪問、面談、参観会、運動会、音楽会、生活科の行事、PTA奉仕作業ときなどに何回もお会いしました。お会いするたびに明るく爽やかな気持ちにさせてくれる方々でした。Kさんは、そういうお父さんとお母さんのもとで毎日をすごしているのです。

 ここまでお読みくださった方々から「そんなのとてもムリ」という声が聞こえてきそうです。でも、決してムリなことではありません。心がけていればだんだんできるようになります。

 私自身も若いころは否定的な言葉が多かったですが、20代のころに読んだ本で肯定的な言葉の大切さを知りました。それで否定的な言葉は極力使わないと決意して心がけてきました。

 もちろん最初はうまくいきませんでしたが、だんだんできるようになってきました。ですから、私は自信を持って「心がけていればだんだんできるようになる」と断言します。

 もう一つ付け加えておきたいことがあります。それは、言葉を肯定的に換えると自分の発想自体もプラス思考になっていくということです。これも私自身の経験から言えることです。

 ですから、ぜひ心がけてください。このチャレンジには1円もかかりません。そして、効果は絶大です。ご自分のためにもお子さんのためにも、ぜひチャレンジしてください。

◆本原稿は、『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』の著者・親野智可等が子どもに関わるすべての人に伝えたい書きおろしメッセージです。