次の興味は民主党代表選

 民主党が大敗した参院選の結果が出てから1週間が過ぎ、政治的な関心は、9月に行われることが予想される民主党の代表選挙に移りつつある。

 菅直人首相は、参院選大敗にも関わらず、内閣改造も党執行部の入れ替えも行わないことを早々に決めた。改選議席の54まで勝敗ラインを下げたにもかかわらず大敗した今回の選挙に関して、人事的に何の責任も取ることなく、物事が済むとは思えない。幹事長辞任は常識だろう。にもかかわらず、今のところ民主党内で大きな混乱が無いように見えるのは、人々の関心が、枝野氏の去就よりも、菅代表再選の有無に集まっているからにちがいあるまい。

 次の民主党の代表は、党員・サポーター票も含む大規模な投票で決定される。国会議員412人が一人2ポイント、合計824ポイントの票を持ち、党員・サポーターが300ポイントを持つ。

 党員・サポーターの動向が把握しづらいし、派閥の勢力図も、かつての自民党ほどはっきりしているわけではないので、代表選挙の票読みは難しいが、筆者が注目したのは、鳩山由紀夫前代表が参院選挙後に菅代表の消費税増税発言に関する批判を述べたことだ。

 鳩山代表は辞任に際して、小沢前幹事長を道連れにして、「小沢外し」を仕掛けたという構図が報じられたが、考えてみると、もともと小沢氏のグループの支持を得たことで代表になり、政権交代後初の首相という名誉ある地位に就いたのだった。鳩山氏周辺のグループは、菅氏への対立候補が小沢氏本人でなければ、小沢氏のグループと共闘する余地があるのではないだろうか。小沢氏に近い議員が120人、鳩山氏のグループが50人、輿石氏や横路氏ら旧社会党に近いグループが40人(7月20日時点のWikipediaの記事を参考にした)という具合に足し合わせると、国会議員票の約半分が固まる。小沢氏のグループが党員・サポーター票に関する票固めに早くから動いているという報道などを合わせて考えると、菅代表が代表選に敗れる可能性は小さくない。

 小沢一郎氏が自ら代表選に立候補するかどうかが一つの問題だが、これは、多分無いのではないか。小沢氏には検察審査会の議決がどう出るかという個人的な問題があることに加え、小沢氏に個人的にアレルギー的拒否感を持つ議員が多い。また、菅首相が誕生したときの一時的高支持率の原因が「小沢外し」であったことなどを、小沢氏自身がよく認識しているだろう。特に最後の点を弁えずに自分が出てくるようであれば、小沢氏の政治的な勘はすっかり鈍ったと断じていいと思う。