アマチュアバンドと職場に共通する「人を動かすリーダー」がやっている2つのこと写真はイメージです Photo:PIXTA

「任せるマネジメント」と
「アマチュアバンド運営」の共通点

 筆者は大の音楽好きで、学生時代からバンドを組んで活動を始め、50歳を超えた今でもオリジナル曲を作ってバンドで演奏して楽しんでいます。実は、チームに仕事を任せることは「アマチュアのロックバンド」の運営をモデルにするのがお薦めなのです。

 アマチュアバンドのメンバーは皆、音楽が本業ではありません。学生、会社員、経営者なので、平日の夜にリハーサルをする場合は、残業で遅刻するというメンバーもいます。また、本業が忙しくて個人のパート練習が十分できていないというメンバーもいます。なかには、「とりあえずバンドがしたいな~」という軽い気持ちで参加しているメンバーもいますので、そういう人はちゃんと練習してきませんし、ときどき遅刻をしたり、勝手に休んだりします。

 そういうメンバーを一つにまとめて、バンドとして成立させ、ライブやレコーディングを行っていくのがアマチュアのロックバンドなのです。現場で働くスタッフ、とくにアルバイトやパートをマネジメントするのに酷似していると言えます。

 ロックバンドをまとめる役割を担うのが、バンマス(リーダー)です。バンマスにマネジメント力がなければ、バンドは一瞬にして空中分解してしまいます。

 アマチュアのロックバンドのメンバーをまとめて、高いパフォーマンスで演奏するために、バンマスが行なっていることは以下の2つです。

(1)プレイングマネージャーに徹する

 大人数で編成されるオーケストラには、自分では演奏せずに指揮棒を振り、演奏者に指示を出し、楽団全体をマネジメントする指揮者がいます。一方、ロックバンドのバンマスは自分でも楽器を演奏するプレイングマネージャーです。

 バンマスは、自分が担当する楽器パートだけに集中するのではなく、演奏会のステージで各パートが高いパフォーマンスを発揮できるように、バックステージ(楽屋)にいるときやリハーサルの際に、メンバーのモチベーションを高めたり、バンド内の人間関係が上手くいくように調整したりするのも仕事です。

 ただし、バンマスは、どんな楽器でも演奏できるマルチプレーヤーである場合は少なく、自分のパート以外の演奏は各楽器の担当者に一任することになります。