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“勝ち組”の足元にも死の落とし穴!?
自殺大国ニッポンで男たちが死に急ぐワケ

 約16分にひとり。

 今、日本ではこんなハイペースで自殺が起きている。平成20年中における自殺者の総数は3万2249人。1日あたりおよそ90人だ。

 毎年、自殺者がもっとも増える3月は「自殺対策強化月間」。今年は「お父さん眠れてる?」と書かれたポスターを駅などに貼るほか、テレビCMも放映するなど、国を挙げての取り組みが行われている。

 ところで、キャッチフレーズが“お父さん”と呼びかけているのには、ワケがある。

 自殺者のうち70.8%を占めるのは男性。2万2831人と圧倒的に女性を上回っている。自殺は日本人の死因の6位だが、20~44歳の男性においては第1位だ。

 いったいなぜ今、男性たちは死に急ごうとするのか。現場に話を聞いてみた。

現場から届く
遺族たちの悲痛な声

 新宿・歌舞伎町。クラブやホストバーのイルミネーションが乱立する表通りを抜け、大久保公園の裏通りをすこし歩くと、小さなカフェがある。

中下大樹さん。生きづらさを感じる人のための相談活動から、弔い手のない人の葬儀、法要まで手掛ける。生と死の両面から現代人を支える、21世紀の僧侶

 だが、よく見れば看板には「駆け込み寺」の文字。じつはここは、コミュニティカフェを併設する「NPO法人新宿救護センター」の事務所なのだ。

 新宿救護センターで電話相談活動にあたるのは、真宗大谷派の僧侶、中下大樹さん。いじめやDV、その他さまざまな心の悩みを聞く。

 一方で、超宗派の僧侶・寺院のネットワーク「寺ネット・サンガ」「葬送支援ネットワーク」の代表も務める。葬送支援ネットワークでは、生活困窮者や身寄りのない人々の葬儀や法要、遺骨の預かりなどの相談に対応。

 おかげで中下さんの携帯電話はいつも鳴りっぱなしだ。朝10時から明け方6時頃まで、眠る暇もないほどの活躍ぶりである。

 「遺族の電話で自殺現場に急行することも多いですよ。昨年だけで約80件の自殺者の葬儀に立ち会っています。今年も2月に8件、3月に入ってから4件あった。このところ、週1、2回くらいのペースですよ」

 さらに、昨年の電話相談約5000件のうち100件は“自殺”について内容だった。多くはその現場からで、「夫が首を吊って死んでいる、どうしたらいいでしょうか」といったもの。

「もう、待ったなしの状況です」と中下さん。

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著者プロフィール

西川敦子
(フリーライター)

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。

この連載について

現代社会でなおも広がり続ける「格差」。この連載では、人々の生の声を拾い、悲惨で理不尽な状況に苦しむ姿などから格差の現状を伝えていく。果たして現政権が唱える「友愛」の光はここにも届くのか――

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