仕事をこなし、意見を交わす場としての物理的なオフィスは当然重要である。どんなレイアウトで、どんな機能が提供されているかは、企業活動の生産性に直結するものだ。しかし、それだけではなく、ITやネットワークの活用や雇用形態、人事評価制度などを含めた、非物理的なオフィスのあり方が、働く人のモチベーションを左右し、業務の効率化に大きな影響を与える。

ITがもたらした変化が
オフィスのあり方も変える

 特に大きな影響を与えるようになってきたのが、ITやネットワークの活用であることは明らかだろう。前述した「クリエイティブ・オフィス推進運動」の一環として行われたアンケート調査では、IT設備への満足度が高いほうが知識創造行動が行われている傾向が見られ、営業利益水準が業界水準を上回る企業のほうが、IT設備の充実についての満足度が高い、という結果が出ている。

 実際に、ITやネットワークを活用して、業務を処理し、情報共有を図り、コミュニケーションを活性化させることは、企業の生産性の向上につながっている。これは物理的なオフィスの中だけではない。ネットワークを介して、オフィスと同じ仕事の環境を提供することで、在宅勤務やサテライトオフィスが実現される。携帯電話やスマートフォンを使って、どこにいても仕事をすることができる。「いつでも」「どこでも」オフィスにいるように仕事ができる環境をつくり出すことは、ワークスタイルの多様化への対応を可能にしている。

 こうした環境の変化は、オフィスのあり方自体を変えるものだ。既成概念にとらわれることなく、自社にとってどんな“オフィス”が最適かを考えてみてはどうだろうか。単なるコスト削減ではない、成長力につながるオフィス像が浮かんでくるはずだ。すぐに利用できるソリューションも揃ってきた。今はオフィス革命に取り組む絶好のチャンスなのである。

※「週刊ダイヤモンド」2010年11月20日号も併せてご参照ください。
※この特集の情報は2010年11月15日現在のものです。