最近ゲリラ豪雨などによる都市浸水が増え、その対策が急務になっている。明電舎ではIoT(モノのインターネット)を活用したクラウドサービスを開発、都市型水害を監視し、安心安全なまちづくりのサポートを行っている。

明電舎
水・環境システム事業部
加藤三千彦
事業部長・常務執行役員

 明電舎は、来年創業120年を迎える電気設備メーカーとして、長い間社会インフラを支えてきた。その中でも水・環境分野は基幹事業の一つ。この分野においては、電気設備の納入だけでなく、設計、製造、施設運営、維持管理をトータルで行う上下水道事業における“総合水処理メーカー”として、日本全国に数多くの実績を持つ。

 その明電舎が、現在力を入れているのが、IoTを活用した「都市型水害監視サービス」だ。降雨情報を国土交通省のXRAIN(川の防災情報)から、下水道管きょ内の水位情報をマンホールの蓋(ふた)に取り付けたセンサーから取り、これらをGIS(地理情報システム)と連携させ、防災上必要な情報をリアルタイムに自治体などに提供するという、クラウド型のサービスである。

 水・環境システム事業部の加藤三千彦事業部長は、「このサービスの特長は、これまで管理が難しかった下水道管路の水位などの情報を、IoT技術によって可視化できたこと。降雨や水位などの情報をストックし、クラウド上でその情報を共有化することで、防災情報の一元化が可能になり、防災支援をスムーズに行えるようになります」と説明する。

 同社では数年前からマンホールの蓋に水位センサーと通信装置、バッテリーなどを組み合わせた「マンホールアンテナ※」を開発・導入しており、今回はそのシステムを、上空と地下の情報から都市型水害を予知するクラウドサービスとして進化させたものになる。今、都市部では、気象の変化によって、短時間での局地的大雨(ゲリラ豪雨)と、それに伴う都市浸水が増加している。また政府も水防法などの法整備を行い、雨水管理のスマート化に向けた取り組みを推進している。同社の「都市型水害監視サービス」は、そうした都市浸水への取り組みを強力に支援するものになる。

 加藤事業部長は、「今後も社会インフラを支える企業として、また電気と計装技術を熟知した電気設備メーカーとしてIoT技術を応用して、風雨災害・土砂災害などの被害軽減にも取り組みたい」と力強く語る。

 ※「マンホールアンテナ」は、東京都下水道サービスと日之出水道機器および明電舎との共同開発品。