エン・ジャパンは8月下旬、自社での採用を効率化する採用支援ツール「engage(エンゲージ)」をリリースした。企業のホームページで、採用サイト作成から応募者管理、スカウトまでを、完全無料で利用できる画期的なサービスだ。なぜクオリティの高いノウハウを完全無料で解放するのか。その狙いをエン・ジャパン鈴木孝二社長に聞いた。

エン・ジャパン
鈴木孝二代表取締役社長

 仕事を探すとき、求職者がチェックする三大情報源は、企業ホームページ、求人サイト、口コミサイト(HP)だという。エン・ジャパンが求職者を対象に、求人サイトと併用して使う情報源を調査したところ、実に76%の人が求人サイトとともに企業ホームページを、59%が口コミサイトを確認していたという。だが肝心の企業の採用情報は、更新が遅れたり詳細でなかったり、意外とクオリティが低いのが実状だ。

 「企業の採用サイトがもっと充実すれば、人と企業の良い出会いがもっと生まれるはず、というのが“engage(エンゲージ)”開発のきっかけです」と鈴木社長は説明する。

 

創業以来「入社後活躍」の価値観を重視

 エン・ジャパンは創業以来、「入社後活躍」の価値観を重視してきた。求職者が本当に知りたい情報を提供せずに、企業側の都合で求人広告を出すと、結果的に入社してから「こんなはずじゃなかった」という事態を生み、せっかく採用した人が辞めたりもする。

 コストをかけて採用しても、結果的にその人材が活躍できないと、求職者にとっても求人企業にとってマイナスにしかならないのだ。それゆえエン・ジャパンでは、業界に先駆けて、企業の詳細で正直な情報を、綿密な取材の上に求職者に提供してきた。

 例えば同社のサービスである「カイシャの評判」というサイトは、「社員の声が100万件以上に達し、日本で一番アクセスを集める社員クチコミサイトになっている」(鈴木社長)。

 こうした社員・元社員による職場のリアルな情報提供サービスは、「求人業界では、従来タブーとされてきました。しかし情報と現実が乖離していては、求職者と求人企業の適切なフィッティングができません。今、求職者は、転職先の企業に“幻想”は抱いていません。良いところもあれば、課題もあると認識している。大事なのは、求人企業側が、求職者の知りたい情報を正直に出すこと。そのインテグリティが求職者に評価され、結果的にいい人材が集まって、企業が発展するのです」

 その求職者が一番参考にしているのが、求人サイトではなく企業ホームページの採用情報であり、「engage」はその採用情報を充実させるためのツールなのである。

採用ノウハウを生かした何万ものテンプレート

PC対応が多い企業の採用ページだが、「engage」はスマホ対応しているのが特徴だ

 「engage」の特徴は、誰でも簡単に採用サイトが作成できるシンプルさにある。エン・ジャパンの採用ノウハウを生かした何万ものテンプレートが用意され、項目にテキストを記入していくだけでサイトが完成する。

 コーポレートカラーの設定など、カスタマイズや作り込みも可能だ。また日本最大級、会員数が500万人を超える転職サイト「エン転職」会員への無料スカウトも提供。さらに、求人専門の検索エンジンに自動掲載、スマートフォンにも完全対応している。作成した求人ページはXMLフィードを使って、求人情報専門の検索エンジンに自動掲載。求人検索エンジン対策も万全だ。

 「『engage』の強みは、長年の求人サイト運営で培われた“項目の設定”にあります。求人企業は項目を何気なく埋めているつもりでも、完成されたサイトを見ると、求職者にとって必要な情報、求職者に響く情報が的確に網羅されている。単なる制作会社にはできない求人のノウハウに、圧倒的な優位性があると自負しています」と鈴木社長。