インターネットやソーシャル・メディアの普及に伴い、顧客の在り方は大きく変わった。と同時にビッグデータの分析・活用により、顧客の行動やニーズが細かく把握できるようにもなってきた。あらゆる業界で、企業が取り組めるデジタルによるマーケティングの可能性は大きく広がっている。この潮流を成長の原動力に変えるために、企業経営者は新しい消費者とマーケティングにどう立ち向かうべきか。

恩藏直人 早稲田大学商学学術院教授 同大学理事

 日本のマーケティング理論研究の第一人者、早稲田大学理事の恩藏直人教授は、次のように解説する。

「『ほとんどの日用品をネットで買う』だけでなく、検討に比較的長い期間が必要な自動車でさえ、『ディーラーに一度しか行かずに買う』(つまり、車種は決めていて契約だけをしに行く)という顧客が登場している。購入を決めるまでの総情報量は一定だとすると、ネットから得られる情報が顧客の行動のほとんどを決定づけている」

 同時に、ネットでは口コミやブログなど、他の顧客が企業の代わりに情報を提供しており、それらを参考にする場合が多い。これを「顧客代行」といい、購買を左右する重要な情報となっている。

 恩藏教授は、このような新しい消費者に対して、デジタル広告で臨むことが、マーケティング理論にも適った方法論であると指摘する。だが同時に、「一度でも抱かれた悪印象は取り返しがつかない」とも指摘する。単にデジタルを導入するだけでなく、消費者に嫌われない適度なバランスは特に重要だと言うのだ。

 下記からダウンロードできる資料では、恩藏教授によるマーケティング理論とデジタル広告の正しい関係を解く解説記事に続き、マーケティングテクノロジー企業であるAdRollの香村竜一郎社長による「顧客に寄り添うデジタル広告」の実践的導入法を紹介している。すべての業種のマーケティング責任者、そして経営者にとってマーケティングの最先端を理解する助けになる文書だ。