投資を始めるのに
いい時期にさしかかってきた

 では、投資商品が有望だという根拠は何なのだろうか?

 「併せて日銀は金融緩和策の一環として、ETF(指数連動型上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)を市場で買い取ることを表明しています。市場の流れに逆らって円高を阻止するのは難しいが、なんとしても株価の下落は止めると意思表示したわけです。FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長も株高による消費拡大効果に関して言及しており、日米とも政策的に株価を下支えしようという意図が感じられます」

 古くから投資の世界には、「国策に売りなし」という格言が伝えられてきている。国家権力が意図的に追い風を導いてくれるのなら、「渡りに船」と受け取るのが道理だと深野氏は説いているのだ。ただし、アイルランドやポルトガルなどの財政危機が再び取り沙汰されているように、依然として世界的に経済情勢が不安定なのも事実だろう。

 「今後も小波乱は起こりうるでしょうし、これまで円高が進んできたのも、経済情勢の悪化に伴って通貨の信任が薄れ、ドルやユーロが盛んに売られたことの裏返し。同時に、紙幣のようなペーパー資産から実物資産である金へのシフトも進み、その価格が急騰しました。個人の資産運用においても、保険をかける意味合いで、全体の10%程度のウエートで金を組み入れるのも一考です」(深野氏)

 もちろん、自分なりの相場観を持っている人であれば、波乱に乗じて大きく変動する為替相場に勝負を挑むという手もあるが……。ただ、その場合も資産全体のリスクバランスに留意すべきだろう。加えて、冒頭でも触れたように、今は給料が増えない時代である。そういった点を念頭に置いた資産運用も求められると深野氏は訴えかける。

 「08年夏まで続いた戦後最長の好景気においても日本のGDP(国内総生産)は21兆円程度しか増えておらず、誰もがハッピーになれる時代は過去のものとなりました。もはや、給料が増えることはアテにできません。したがって、家賃収入が得られるマンション投資のように、定期的なインカム(利息的な収益)を期待できる運用も必要となってくるでしょう」

 いずれにせよ、ひと昔前とはまったく異なる発想の運用が必須となっているのは間違いない。

[制作/ダイヤモンド社 企画制作チーム]


週刊ダイヤモンド」12月18日号も併せてご参照ください
この特集の情報は2010年12月13日現在のものです