インドで60年間にわたる
ビジネス展開の実績

 こうした重点施策の推進は、長期経営ビジョンの基本方針の一つである「グローバル化」に沿って行われている。 

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  同社が原材料を供給するジェネリック医薬や自動車、家電などの製造拠点は国内から中国、さらにASEANへとシフトしており、近年はインドの成長も著しい。

 そうした変化に対応して、同社はタイ、インドネシア、インドに現地法人を設立、ベトナムにも新たな拠点を設立した。特にタイでは、約1500社の顧客を持つ化学品商社のMCグループを買収し、タイ国内の販売網と調達力を強化している。

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  また、インドでの事務所設立はちょうど60年前にさかのぼり、化学品専門商社の中では、最も早く同国に進出した企業の一つだ。  

インド(グジャラート州)の不織布製造工場(上:外観、下:屋内)。製造過程における多様な粉じんを除去するバグフィルターに使用するフェルトを製造。幅広い分野での展開を視野に、2014年5月、工場の稼働を開始

 すでに半世紀以上にわたって、多くの現地企業と深い関係性を築いており、ファインケミカル以外にも工業用不織布の製造工場を現地企業と合弁で設立し、バグフィルター向け用途が好調に推移している。

「長年、外資に厳しい参入規制を敷いてきたインドですが、ここ数年で環境が大きく変わり、本格的な生産や販売が可能となってきました。古くから付き合いがある現地企業との連携を深め、ビジネスを大きく広げていきたいと考えています」(福井社長)

 一方、国内では地域密着型営業の特徴を生かして、各地域の工場に対し、化学品の原料において輸入材料の提案を強化するなど、グローバルとローカルの両面で成長を追求する方針だ。

 こうした成長を支えるのは、やはり人の力である。同社では、「グローバル化」に対応できる人財を育成すべく英語教育を進め、今年7月からは若手社員を海外のグループ会社へ短期派遣する研修制度もスタートさせた。創立100周年に向けた今後の取り組みに注目したい。