選手村の住棟をサ高住や
介護施設に転用せよ

 一方で、日本では急速に進む超高齢化が大きな社会問題となっている。約800万人といわれる団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる「2025年問題」は、医療や介護、圧倒的に少ない受け入れ施設などで深刻な国家的課題といっていい。

 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(2013年3月推計)によると、2025年における75歳以上人口は全国で約2179万人に達する。

 その増加率は都市部ほど顕著で、2010年比では全国が53.5%増なのに対し、埼玉県が99.8%増、千葉県が92.2%増、神奈川県が87.0%増、東京都が60.2%増(約198万人)。しかも、夫婦2人だけ世帯や単身世帯が急増する。介護サービスや医療機関との提携によって高齢者を支える「サービス付き高齢者住宅」などの需要がますます増大するはずだ。

 さらに、福島第一原発の事故でいまだ仮設住宅や県外で暮らす高齢者も多い。この人々は国家の被害者だ。高齢者施設などで支援するのは当然だろう。

晴海の選手村には21棟の住宅棟(板状)と商業棟を建設。五輪終了後に2棟の住宅棟(超高層タワー)が施工され、総戸数約6000戸が分譲・賃貸される予定になっている(赤枠内が市街地再開発事業の施行地区)
画像/東京都都市整備局

 そこで提案である。東京五輪の選手村は大会終了後2棟の超高層タワーが追加建築され、約6000戸の住宅として分譲・賃貸される。これを国が借り上げて、高齢者のためのサ高住や介護施設に転用できないか。

 日本では、高齢者住宅や介護施設は郊外に押しやられがちだが、欧州では都市部にあるのが一般的だ。こうした有効活用ができるなら、何かと物議を醸す五輪費用も浮かばれる。

 英国では、五輪費用を事前に公表し、その後も使途を監査局が徹底してチェックする。政治家の権力維持やちっぽけな野心のために使うこの国を恥じる。

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