もともと同社は、社員全体のおよそ半数(約8000人)を女性が占める会社だが、この業務量削減によって女性の役割が大きく変わった。事務を担っていたエリアコースの女性が営業に出られるようになったのだ。2008年当時、エリアコースで営業を担当していた女性社員は120人に過ぎなかったが、現在では約1700人。それに伴って、わずか8人だった女性リーダーも202人とおよそ25倍にも飛躍的に増えている。

 現在も引き続き、「なくす」「減らす」「移す」「持ち運ぶ」をキーワードに業務の合理化に取り組んでいるという。

「なくす」とは、非効率業務を削減すること。「減らす」とは過度な丁寧化を防止すること。「移す」とは、社内のオフィス業務支援策を積極的に活用すること。そして「持ち運ぶ」は、モバイルを活用して外出先で行なえる業務を増やすことだ。いずれもITを大胆に活用することで業務削減・移行を行い、合理化・社員の時間創出につなげている。

タブレットの導入で
「持ち運ぶ」業務が大幅に増加

 現在、「持ち運ぶ」業務の主要ツールとなっているのは、PCとほぼ同じ機能が使えるタブレットだ。これの導入によって「持ち運ぶ」業務は大幅に増えた。

「お客様への提案から契約まで、すべてタブレットでこなせます。また、お客様を訪問する前にタブレットで情報を確認したり、遠隔地にいる社員とでもすぐにWEB会議を開くことができます。ペーパーレスになったのもメリットですね。従来だったら、会議の資料をプリントするだけでも10分、20分かかってしまう。こうした無駄な時間がどんどん減っています」(桑原部長)

 社員たちは、移動中にメールをチェックしたり調べ物をしたり、休憩中に動画で新商品の仕組みなどを勉強したりすることで、スキマ時間も有効に活用している。

 こうした環境は、性別・年齢・国籍・障がいの有無や働き方・雇用形態などの枠にとらわれず社員が生き生きと働けるダイバーシティやテレワークの推進にも一役買っている。「2013年度ダイバーシティ経営企業100選」受賞や東京海上ホールディングスの「2015年度なでしこ銘柄」選定はその証しといえるだろう。

 また、代理店にも社員とほぼ同じ機能を持つタブレットを導入し、保険の提案・契約はもちろん、社員とのWEB会議などに活用している。また、お客様(エンドユーザー)にはスマホアプリ「モバイルエージェント」を提供。このアプリを使えば、事故を起こした時の連絡も簡単、1日単位で加入できる自動車保険などもここから申し込める。

社内、代理店が使用する業務アプリや、保険契約者向けのアプリ「モバイルエージェント」の機能改善に取り組む、ビジネスプロセス改革部のメンバー。