早期に治療を始めれば
失明のリスクは低下する

 緑内障の治療の目的は視野の維持で、そのために眼圧を下げることが重要になる。これによって緑内障の進行を遅らせたり、食い止めたりすることも期待できる。正常眼圧緑内障でも、視野の欠損を広げないためには眼圧を下げる治療が有効だ。眼圧が1mmHg下がると、進行度合いが約10%遅くなるというデータもある。「検査・診断技術の進歩や治療の選択肢の充実に伴い、早期発見・早期治療が可能となったことで失明のリスクは低下してきているため、緑内障は決して恐ろしい疾患ではありません」(山本教授)。

 治療の方法は主に、以下の3つに分けられる。

●薬物治療
 緑内障のタイプや進行度、または眼圧の高さなどによって、房水の生成を抑えたり排出を促すための点眼薬が処方される。いずれも眼圧を下げるための点眼薬だ。現在、点眼薬には数多くの種類があり、早期の治療では1種類のみの点眼で済むケースが多い。一方、重度になるほど複数の点眼薬が必要になる。最近では2つの薬剤を混ぜた点眼薬も登場している。

 薬物治療は、病状を維持するため長期的に続けなければならないという点がデメリットと言えるが、1日1から数回点眼するだけで緑内障の進行を抑えられる点はメリットと言える。

●レーザー治療
 点眼薬だけでは眼圧が下がりにくい場合、目の充血やドライアイなど点眼薬の副作用が強く表れる場合、そして手術を回避したい場合などには、レーザー治療が検討できる。隅角に低エネルギーのレーザーを当てることで房水の排出を促すレーザー線維柱帯形成術や、眼球の虹彩にレーザーで穴を開け房水の流路を確保する急性型の緑内障に適したレーザー虹彩切開術などの種類があり、症状に応じて選択される。

 いずれも入院の必要はなく短時間で済む点は大きなメリットだが、角膜障害などの合併症の可能性はゼロとは言えない。

●手術治療
 点眼薬でもレーザー治療でも効果が得られなかった場合には、手術による治療が行われる。緑内障手術には主に2種類あり、隅角にある線維柱帯を切開して房水の流出をよくする方法や、線維柱帯や虹彩の一部を切除して房水の流路を作りだす方法などがある。手術では眼圧下降効果は高いが、感染症のリスクが高まるなどのデメリットがある。