岐阜県多治見市で2000~01年に実施された、日本緑内障学会による緑内障疫学調査では、40歳以上の20人に1人が緑内障であり、そのうち72%もの人が正常眼圧緑内障であることが明らかになったという。さらに、正常眼圧緑内障は日本人をはじめアジア人に多く見られるという特徴があるが、その理由はまだ明らかになっていない。

 緑内障が失明原因の第1位となっている背景には、自覚症状に乏しいという特徴があると考えられる。加齢とともにゆっくりと進行し、多くのケースで左右の目の進行度合いが異なるため、欠けた視野をそれぞれの目が互いに補い合い、見えないことになかなか気付くことができない。

 「初期と中期の段階を過ぎ、すでに視野の大部分が欠けた後期になって初めて受診されるケースも少なくありません。その際にも、“少し見えにくい”という程度の自覚症状しか訴えない患者さんもいるほどです」(山本教授)

緑内障のタイプ

●発達緑内障
先天的に隅角に異常があるタイプの緑内障

●続発緑内障
ケガや薬などが原因で眼圧が上昇するタイプの緑内障

●原発緑内障
*閉塞隅角緑内障
隅角が閉塞することで眼圧が上昇し視神経が障害されるタイプの緑内障
*開放隅角緑内障
隅角からうまく房水が排出されないために眼圧が上昇し、視神経が障害されるタイプの緑内障
・正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲内にありながら視神経が障害されるタイプの緑内障