マーケティング情報としての活用余地と
満足度の高い関係づくり


正林国際特許商標事務所
正林真之所長

しょうばやし・まさゆき
1989年東京理科大学応用化学科卒業。94年弁理士登録。特許事務所に勤務後、98年に独立して正林国際特許事務所(現・正林国際特許商標事務所)設立。2007~11年には日本弁理士会副会長。東京大学先端科学技術研究センター知的財産部門客員研究員なども務める。日本弁理士会特別賞や発明協会功労賞などを受賞。

 マーケティングでの情報活用ははかり知れない。WEBを通じた贈答のやりとりでは、単純に人気をランキングできるだけでなく、「誰がどういうものを求め、諦め、迷ったかなどの情報を収集できます」(正林所長)。また、選択の傾向を分析して関心がありそうな商品を候補として表示したりもできる。

 正林所長は、「例えばですが」としながら次のようなアイデアを紹介する。「企業のキャンペーンなどの際に価格を設定し、欲しいと思う順に商品を五つぐらい特定のお店で選んで応募してもらいます。そうすると、そのお店でなぜ、その商品に人気があるのかなどを解析する糸口にもなるのです」。

 さらに「企業はもっとギフトの戦略的な活用に目を向けるべきです」とも訴える。

 例えば、バラエティに富んだ商品をそろえ、株主の人気度や選択傾向をつかむことで、より満足度の高い株主優待策を用意できる。品ぞろえやWEBで発せられるメッセージなどを通じて企業イメージを強くアピールする機会にもできる。そうした対応のためのコストもIT活用故にかさみはしない。

 また広告宣伝費の投入にしても、ギフトを通じてより実証的にターゲットの好みを探れるようになるだろう。お客さま向けのキャンペーンで企業側がプレゼントを決めてしまうのではなく、お客さまに決定権を移すことで、企業には見えていないお客さまの思いを浮かび上がらせるようなキャンペーン成果を生み出せるのだ。

 「形式の世界から真心の世界へ、という呼び掛けが空虚のまま終わらない。ITとギフトを結び付けることで、贈る人と贈られる人の緊密な関係をより正確かつ的確に構築できるようになるでしょう」(正林所長)

 ギフトを戦略的に使う。そのためのイノベーションが始まっている。