ワークスタイル変革は
トップダウンの陣頭指揮で

 とはいえ、ワークスタイル変革のためにテレワークを導入するには一定の要件が必要だ。同協会は、テレワーク導入に必要な要素として「労務管理」「執務環境」「情報通信システム」の三つを挙げる。 

KFSテレワーク導入成功のキーファクター(KFS)
出典:日本テレワーク協会資料
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 さらに、制度の浸透のためには、テレワークの実践事例が示唆する「経営トップによる強力な推進」「対象者の拡大」「中間管理職の理解」「仕事のやり方を変える」という四つの「成功のためのキーファクター(KFS)」の必要性を説いている(参考・右の図)。

 中山専務理事は、テレワーク導入に成功している企業に共通する特徴として「トップが先頭に立って旗振りをしていること」を挙げる。

 また、「経営課題解決のために働き方を改革し、テレワーク導入が必要であると判断したら、それを中間管理職が腑(ふ)に落ちるまで対話することが重要」という。部下がテレワークにより目の前からいなくなることへの抵抗感は大きく、中間管理職は、変革に際して旧来のやり方に固執しがちだといわれるためだ。

 この問題を乗り越えるために中山専務理事は、「テレワークを導入する際のパイロット運用で、中間管理職を対象にすることが効果的」とアドバイスする。部下とのコミュニケーションがICTを介して行われるようになると、より丁寧に指示を出す必要性が生じ、業務の目的やプロセスが明確になるほか、成果もタイムリーに共有されることが、結果的には生産性の向上につながるのだという。

 仕事のやり方を変えることはビジネスプロセスにおいて社内外のコミュニケーションの質を上げることでもある。こうして企業の価値創造やイノベーションが創発されれば、それはテレワークにとどまらず、ワークスタイル変革においても重要な成果の一つとなる。

 中山専務理事は、「日本でのワークスタイル変革において求められる重要なポイントは、“長時間労働は美徳”という慣行を改め、テレワークの活用などで効率よく仕事をして成果を出すことであり、そのためには、従来の会社管理中心から、自己管理の強化へと働く人の意識改革を図ることです」と強く語った。

一般社団法人日本テレワーク協会
http://www.japan-telework.or.jp/