大学生の娘さんに、勝手に黄色い具が入ったサンドイッチを注文されてしまいました。自分の頭をつんつんしながら、「羊のここよ」と。しかも、お店のお兄さんは、「日本人か? なら、サービスだ」と、私のサンドイッチだけ、具を大盛りにしてくれたのです。その様子を見ながら、抵抗というよりも、動揺しましたね(笑)。

 でも、思い切って食べてみると、「カレー味の白子」のようで、美味しかったのです。食感は絹豆腐に似ていました。日本で白子と言えば、高級食材です。羊の脳みそが入ったサンドビーチェマーグズは、イランでは一般的なサンドイッチのようで、ハムやチキンを使ったものより安いくらいでした。10年以上前でしたが、日本円で30円くらいだったと記憶しています。脳みそサンドを食べながら、ガールズトークをしましたよ。

ベストはアルマジロ
ワーストはビーバー

――ケニアのサバンナでは、街のレストランでランチの最中に野生のダチョウに襲撃されました。さらに、お店のおばさんがフライパンを持ち出してダチョウを追い払ったかと思えば、今度は店に居たマサイ族のおじさんたちにご飯を食べられてしまったり、屋外ではダチョウに追いかけられたりと、さんざんな目に遭います(笑)。

11月25日、東京・表参道にある「H.I.S.旅と本と珈琲と」にて、本選びの達人として知られるブックディレクターの幅允孝氏(左)と肉食談義を行った。当日は、じゃんけん大会で勝った人に、“ダチョウの生ハム”が振る舞われた Photo by Hitoshi Iketomi

 レストランといっても、正面のドアは開けっぱなしで、土壁の家屋の1階を食堂にしているようなお店でした。長く続いたサバンナ縦断の旅の途中で、久々にイスに座って暖かいご飯が食べられると思っていたら、黒くて長い影が近寄ってきたのです。

 振り返ったら、なんと野生のダチョウで、私のお皿に近づいたかと思うと、ガツンと頭突きをしてから、ハグハグと鶏肉料理を食べ始めました。共食いですよね。もう、本当にびっくりして叫び声を上げたところ、厨房から飛び出してきたお店のおばさんが奇声を上げながらフライパンを振り回し、ようやくダチョウを外に出してくれました。

 ところが、今度は、いつの間にかマサイ族のおじさんたちがテーブルに座って私のお皿の料理を「お姉ちゃんも食べな」と、勝手に食べているのです。これは、後から知ったのですが、サバンナ周辺では「そこに食べ物があれば、他人のご飯でも食べてよい」という現地のルールがあるそうなのです。おじさんは、「だから、お前も食い返せ」と(笑)。ケニアでは、屋外でダチョウに追いかけられたあげく、近くの木に登り、必死に幹や枝にしがみついて助けがやって来るのを待つなど、恐怖の体験もしました。

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アルマジロのブラウン・シチューの旨さ

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