それでも、南アフリカで、「ダチョウのステーキ」と「ダチョウの卵のオムレツ」を食べることができましたので、リベンジは果たせました。ステーキは、鹿や猪のように少し獣臭さがありましたが、脂も適度に乗っていて食べやすかったです。一方で、オムレツのほうは、あまり美味しくありませんでした。「もしかして、黄身を入れ忘れたのでないだろうか?」と思うくらいに白っぽく、味も薄い。どうして、この弱気を感じさせる卵から、あのような強気で獰猛なダチョウが生まれてくるのか、理解に苦しみます(笑)。
――『世界のへんな肉』には、そうした笑ってしまうようなエピソードがたくさん出てくるのですが、あえて“ベストワン”と“ワーストワン”を選ぶとすると、どうなりますか。
『世界のへんな肉』は、「おとなの週末」web版での連載をまとめて再編集したもの。当初は8回で終わる予定だったそうだが、人気が出たことで延長に次ぐ延長となった。現在は、雑誌版に舞台を移し、「白石あづさの日本の奇祭・珍祭」を連載する Photo by Shinichi Yokoyamaベストワンは、やはりグアテマラで食べた「アルマジロのブラウン・シチュー」ですね。お店のおじさんに厨房の冷蔵庫の中まで見せてもらってから料理してもらいましたので、間違いありません。素人目にも分かるほど、しっかり蛇腹の筋が入っていました。
シチューには、豚の角煮のような塊がゴロゴロ入っていて、ゼラチン層の部分は濃厚でマグロの頬肉のようでした。非常にリッチな味わいで、今も忘れられません。コラーゲンがたっぷりで、「美味しい!」というよりは「旨いっ!」という感じでした(笑)。
反対にワーストワンは、バルト三国に属すリトアニアで食べた「ビーバーのプラム煮込み」でした。現地では出しているレストランがいくつかあるので、もしかしたら美味しいビーバー料理も存在するのかもしれませんが、私には川魚の生臭さばかり感じられて美味しいとは思えませんでした。詳しくは本に書いていますので、ぜひチェックしてみてください。
カロリーを取り過ぎたら
粗食に徹して調整する
――ところで、白石さんは、インド仏教徒1億5000万人の頂点に立つ日本人僧侶の佐々井秀嶺さんの密着取材をした経験があるそうですね。佐々井さんは日本の仏教界と距離を置く孤高の行動人で、2009年になって一時帰国するまで40年以上も現地で不可触民の解放と仏教の復興に取り組んだ“伝説の人物”です。
はい。そのご縁は、2004年にフジテレビ系列の深夜番組「NONFIX 男一代菩薩道」という番組を制作した映像ジャーナリストの小林三旅さんにいただきました。
そして、後に佐々井さんが一時帰国された際に、東京で1時間くらいインタビューをさせてもらいました。1935年(昭和10年)生まれで、かなりのご高齢にもかかわらず、言葉に力がみなぎる、にこやかで優しいおじいさんだと感じましたが、どうやら佐々井さんのほうは、私のことを「聞き上手」だと気に入ってくれたようなのです。



