勢いの川崎、規模の横浜
県央も成長見込める神奈川

 神奈川県の色分け地図では、おおむね人口減で過疎化が進む西部の小田原や箱根周辺を省いた。例外的な存在が「田舎モダン」を掲げる2位開成町だろう。県内最小面積のこの町は合計特殊出生率が1・62(県平均1・34)と高い。子育て世代支援に力を注ぎ移住を促すという町の明確な意思が年少人口増に結実している。

 神奈川もまた、東京23区へのアクセス利便性に優れるところが人口を増やしている。その筆頭は川崎市で、1位中原区、3位高津区、6位幸区、10位麻生区と宮前区、13位川崎区、0.6%増の多摩区と、7区いずれもが人口を伸ばしている。中原区は「武蔵小杉」の勢いが周辺の東急東横線「元住吉」やJR南武線各駅へと波及している。

 政令指定都市最大の人口(373万人)を擁する横浜市には18の行政区があるが、1%以上人口が増えているのはそのうちの9区。JR根岸線や京急沿線の金沢区、港南区、内陸部の栄区、瀬谷区、旭区、南区、泉区などは▲3~▲1%台で、毎月のように人口を減らしている。これらの区は最寄り駅からバス便利用の丘陵を切り開いた旧郊外の典型だが、建築協定を結び良好な住環境を維持していることなどがむしろ呪縛となり、土地の買い手が付かないなど厳しい状況下に置かれようとしている。

 対照的なのが、港北ニュータウンがある川崎市隣接の3位都筑区や5位港北区、そして7位鶴見区。

 沿線人口の減少でジリ貧の相鉄は、都心直通プロジェクトを進めている。18年度内にも、JR線・東急線との直通線が開通予定だ。

 湘南では8位藤沢市の元気がいい。「辻堂」駅前の商業施設など、沿線にあった大規模工場跡地の再開発が盛んで、「大船」〜「藤沢」間に新駅構想もある。

 県央では、12位大和市、共に15位の海老名市と相模原市中央区が比較的順調だ。小田急線とJR横浜線の沿線で、厚木海軍飛行場や相模総合補給廠など在日米軍の施設が残る。駅10分前後の立地で大規模マンション開発が相次いでおり、3000万円台で手が届く。

 三浦半島は全体的に沈んでいる。「逗子」はJR横須賀線・総武線快速の始発駅で座って通える利便性もあるのだが、駅前も含め、どうにもひなびた感が拭えない。

 

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