エリア別に囲い込む
野村不動産の販売戦略

 首都圏の建売住宅市場は年間約5万戸規模。その中で大手デベロッパーの占める割合は小さいが、最近面白い動きを見せている。

 年間600戸前後を手掛ける野村不動産は、建売事業を「区画整理事業型」「郊外型」「準都心型」「都心型」の4つにセグメント。このうち郊外型が好調で、町田ガーデン、ひばりヶ丘テラス、鶴瀬セントラルが続けて即日完売した。

 郊外型の価格帯は4000万~5000万円で、同じエリアで展開するパワービルダーや工務店より約1000万円高い。それでもこのクラスになると商品性は高く、床面積は110平方メートル前後は確保でき、マンションに比べ広さに余裕を持って暮らせる。

 さらに最近では、1億円を超える都心型も即日完売が出るなど堅調。もともと都心では1.5億円超は注文住宅と相場が決まっていたが、今では建売住宅が2億円超までカバーしている形だ。

 昨今の新築マンション価格高騰は、中古マンション価格も押し上げているわけで、資金力に余裕がある買い替え層の動きも、好調な都心型建売に影響を及ぼしている。

 10~15戸程度の開発規模とはいえ、単発の注文住宅に比べれば材料一括発注のスケールメリットも生じる。そうした細かな差異も、購入検討者はシビアに見比べる。

 「エリア戦略・囲い込み戦略は当社の販売上の大きな強み。戸建て検討層は回遊する傾向があり、それを見越してプラウドシーズンメンバーなどの囲い込みを実施。用地取得段階から既分譲エリアを意識して開発している」(野村不動産住宅事業本部執行役員・神保憲之氏)という。