ドライバーだけでなく
同乗者全員が気持ちよくなる足回りを追求

だが、この「ステップワゴンModulo X」の最大の魅力は、見た目や装備の豪華さではなく「乗り味」だと、ホンダアクセスの商品企画担当である三重野祐介氏は語る。
「サーキットにサスペンションの開発担当が通い詰め、およそ1年をかけてチューニングしました。サスペンションのチューニングというと、走り屋をイメージされるかもしれませんが、目指したものは、むしろまったく反対です。ドライバーも含めたすべての同乗者が安心して乗れる、高い安定性の実現です」
ステップワゴンのような車高の高いミニバンは、広々とした室内が魅力である半面、セダンと比べて重心が高い分、カーブを曲がったときや急な加速・減速の時に車体がぐらっとしやすい。物理的には避けられない問題だが、それが大きいとドライバーも同乗者も不安感に襲われる。この揺れをどうやって少なくするかが、ミニバンの安定性を考えた時の重要課題の1つである。
「ステップワゴンModulo X」では専用のサスペンションの採用で車高を下げるととも、フロントのエアロバンパーによって走行時の車体の下の空気の流れを安定させることで、4輪が路面に吸い付くような安定性を実現している。
「サスペンションのバネを固くすれば車体の安定性は増しますが、固めすぎれば乗り心地が悪く不快です。サーキットや一般道でテストを繰り返し、どんな路面でも走りの安定と乗り心地を高いレベルでバランスできるよう、調整に約1年の時間をかけました」(三重野氏)
だが正直、こうした内容を文字で書いたり、口で説明しても、実感してもらうのは難しいだろう。だからこその試乗なのである。カタログ数値やネットの情報では得られない体験を通じて、商品への理解を一段深めてもらうのが、今回の試乗会の狙いだ。
では実際の試乗会は、どのような手順で行われたのか。順を追って見てみたい。