チャレンジの風土で国内屈指の技術集積
浜松市は、産学官の連携体制が強いことでも知られる。鈴木市長は「『やらまいか精神』の発露では」と明かす。
「やらまいか」とは、当地の方言で「やってみよう」という意味で、チャレンジ精神を象徴する言葉だ。
浜松発祥の世界企業も「やらまいか」で新事業を立ち上げ、拡大してきた。この言葉は起業家だけでなく、協力企業や投資家、研究者に至るまで、その夢に懸けるすべての人びとをつなぐ言葉でもある。
市では、「はままつ産業創造センター」を設置し、産学官連携で新産業創出に向けた新たな取り組みを進めている。次世代自動車の実証実験や、航空宇宙分野の共同受注グループの設立などもその一例である。
こうした環境の下、ある医療関連メーカーは、工場建設に際して、他県に設けていた研究機関も浜松に移転している。周辺産業の集積と浜松医科大学はじめ医療機関との連携が、自社の競争力を高めると考えたからだ。製造拠点のみならず、本社を移転した企業もある。ビジネス拠点としての潜在性の高さを示す証左といえよう。
インフラ整備と国内最大級の補助金も魅力
このように産業立地として恵まれた浜松の地に、大規模な工場用地が生まれた。市街地からクルマで20分足らず、東名高速道路のICからも近い「都田地区工場用地」だ。
南北2ブロックの用地の総面積は約27ヘクタール。国内最大級規模の公共施行による工場用地である。
当地は三方原台地上に当たり、堅固な地盤で津波や液状化などのリスクの不安は少ない。上下水道、工業用水、都市ガス、電力が備わり、公共整備、公共管理の調整池と公共緑地の緩衝帯が整備されるなどインフラも充実している。