──日本で唯一のシステム建築専用工場を保有していることも強みですね。
大島 専用工場(千葉県袖ケ浦市)の保有は、品質とスピード面で大きな強みになっています。材料を常時ストックして材料調達時間を短縮し、工程に応じた生産調整が可能ですので「短納期・低コスト・高品質」を実現する原動力の一つです。契約後45日から60日後には現地での建て方が開始できます。既存工場の生産能力は1カ月に建築面積8万平方メートル、総重量5トンを有しますが、今後大阪にも生産拠点を設けます。
「yess建築」の特徴は高張力鋼を使用して柱・梁を製作しているところにあり、H形鋼を主体に使用する在来工法と比べて、鋼材の使用重量で60%から70%程度の軽量化を図っています。その結果、大スパン・ローコスト・耐震性能の向上などが期待でき、環境にも優しい建築でもあるのです。
当社の開発部隊は商品開発やシステム開発など、技術革新に日々取り組んでいます。ビルダーとも情報交換を行いながら、技術に磨きをかけてお客さまに喜んでいただく建物を提供したいと思います。
──高品質の製品を生産しても、現場で施工する職人が不足しているのではありませんか。
大島 「エレクター制度」を立ち上げて鉄骨や板金加工の技術者を育成し、全国に100社程度のエキスパート集団を抱えており、いつどこででも建て方が可能な体制を整えています。こうした強みを発揮し、創業以来の受注棟数を約7600棟に伸ばしています。
シェア20%を目指し
業界首位を堅持
──今後、建築需要はどのように変化していくのでしょう。
大島 着工面積は09年の世界同時不況を底にして回復基調にあり、今後も高度成長期に建てられた老朽化設備の更新や生産合理化による工場の建て替え需要、および消費行動の多様化による物流の変化に対応した倉庫の需要は堅調に推移すると思われます。
一方、少子高齢化や後継者不在により職人不足は解消されず、在来工法の供給能力が縮小するため、熟練の技に頼らなくても質の高い建物を短工期で建てられるシステム建築への注目が高まるのは必然と言えるでしょう。近い将来、鉄骨造の工場や倉庫などのデファクトスタンダード(事実上の標準)になると考えています。
──16年6月に社長に就任しました。抱負を教えてください。
大島 当社は横河ブリッジホールディングスの創業者・横河民輔の「社会公共への奉仕と健全経営」を基本理念としています。社会公共への奉仕、つまり地域社会への貢献と健全経営を守りながら、誠実な対応をさせて頂くことこそが使命と捉えています。その上で、今まで築き上げてきた首位の座を揺るぎないものにし、現在の当社のシェア4.8%から「yess建築」ならではの仕組みとサービスを通して、将来20%のシェアを目指します。
問い合わせ先
株式会社横河システム建築
ホームページアドレス:http://www.yokogawa-yess.co.jp/