潮来市出身の横田紗彩さんは進学後に故郷を離れていたが、体調を崩した母親の世話をするため実家にUターン。しかし、潮来と東京駅を結ぶ高速バスを利用し都内へ通勤、移動時間を利用した資格取得の勉強も行なうなど移住によって仕事とプライベートを充実させている。また、潮来市が実施している高速バス利用者への補助制度も紹介する。

 都内の大学への進学を機に故郷の潮来市を離れていた横田紗彩さん。卒業後に大手アミューズメント企業に就職し、宮城、東京と転勤中に、実家の母親が体調を崩し「身の回りのことをサポートしたい」と潮来市へのUターンを決意。お台場にある大手自動車メーカーのショールームに転職し、高速バスを利用して潮来市の実家から通勤することになった。

都内へ高速バスで通勤する横田紗彩さん。潮来市と東京駅間は約10分間隔で高速バスが運行されている。

 実は鹿嶋・潮来と東京駅間を結ぶ高速バスは、一日の本数が82往復と茨城県内ではナンバーワン、全国でもトップクラスの本数を誇る路線。さらに潮来市への転入者などを対象に、東京駅行き高速バス定期券購入費用に対し最大2万円を助成する潮来市独自の制度がスタートしたことも後押しになった。現在、横田さんは市の助成制度を活用しながら、都内へのアクセス良好な高速バスと電車を乗り継ぎ、実家から約2時間かけて勤務先まで通っている。

高速バスの移動時間や充実の環境を活用して
「登録販売者」の資格を取得

 最初は通勤時間の長さに不安を抱いていた横田さんだが、いざ通い始めると、高速バスのほとんどはテーブル付きの座り心地のよい座席やトイレが完備されている上、PCや携帯を充電できる電源コンセントもある充実した環境だったため、約1時間20分の快適な乗車時間を自身のスキルアップのために活かすことになった。

 家族の介助をきっかけに医療分野に興味関心を持った横田さんが目指したのは、ドラッグストアなどで一般用医薬品を販売できる薬のスペシャリスト「登録販売者」の資格取得。車内で勉強を始めて数カ月後、見事一発合格!

「潮来に戻らず都内に住み続けていたら、遊びに夢中で資格を取ろうと思わなかったかもしれません。これも高速バスで通勤したからこその結果。次は人命救助に関する資格を取りたいです」(横田さん)

片道約1時間20分の道のりを座り心地のよい座席で過ごせる。

Uターン組だからこそ気付く故郷の魅力
仕事とゆるやかなプライベートを満喫中

 潮来での生活は約6年ぶり。改めて気付いたことは、利便性の高さ、景観の美しさ、故郷の人々の温かさだった。

「潮来と東京駅間の高速バスは山手線感覚で乗ることができるので、行きも帰りもあまり時間を気にせずに移動できて便利。定期券を持っているので、オフの日も都内で遊んだりしています。実家近くにコンビニや色々な生活用品が揃う便利なお店もありますし、都内で暮らすよりも物価が安くてお得です。潮来は自然が豊富ですし、静かで過ごしやすい所。帰郷を喜んでくれた家族や友人が歓迎会を開いてくれたのも嬉しかったですし、親孝行もできるようになって本当に戻って良かったです」(横田さん)

毎年5月下旬~6月下旬に水郷潮来あやめ園で開催される「水郷潮来あやめまつり大会」

 水郷の街・潮来ならではのサッパ舟による十二橋めぐりや風流なあやめまつり、道の駅で食べられる地域の特産品も横田さんのお気に入りなのだとか。全国有数の観光地お台場での華やかな仕事、ステップアップへの挑戦、家族や友人に囲まれて過ごすゆるやかな暮らし。それらを両立した自分スタイルの日々を横田さんは満喫している。