2010年、富士通はVMwareの仮想化アプリケーションを活用し、多くの大型仮想化システムの導入を行った。文教・自治体、金融・保険、情報産業・通信など幅広い業種のビジネスを支える重要なシステム基盤の仮想化が大半を占める。仮想化・クラウド化のモデルとなる意欲的な事例を数多く創出したことが、受賞を引き寄せた。

富士通
常務理事 プラットフォーム技術本部長
伊藤賢一氏

 2010年、仮想化のトレンドは二つありました。一つは、クライアント環境の仮想化です。あるお客様は、社員に割り当てたパソコン上のOSやアプリケーション、データを社内で一元管理するデスクトップ仮想化を実施しました。この結果、在宅勤務の社員がテレワークで業務を行える新たなワークスタイルや雇用モデルを実現し、さらに全社的なシステム運用の効率化も推進しています。

 もう一つが、クラウドコンピューティング導入の布石となるシステム基盤の仮想化です。VMware製品群を使えば、従来のように業務の追加のたびにシステムを構築し直すのではなく、必要な計算処理能力やディスク容量などのIT資源を需要に応じてユーザーに割り当てるクラウド環境へ移行できます。

 たとえば、当社のミドルウエア開発を行っているグループは、富士通のIAサーバ「PRIMERGY」とVMware製品を組み合わせ、開発用サーバを仮想化し、社内のIT資源をムダなく開発者に配分する仕組みを構築しています。

 こうした手法を用いて、自治体の提供する行政サービスの基盤となる業務系システムのリプレースを仮想化で行った事例もあります。このケースでは、当社が開発・提供する高信頼IAサーバ「PRIMEQUEST」上にVMware製品を稼働させ、万が一ハードウエアの一部が停止しても、すぐに他のハードウエアへ業務アプリケーションを移して業務を継続できる高信頼の仕組みを実現しました。サーバ台数の削減による運用効率の向上も同時に図っています。

 仮想化やクラウド導入の課題として、適用する業務領域、物理・仮想システムの並行運用に加え、組み合わせる製品次第で性能や信頼性が大きく左右されるという点があります。解決には、最新のハード、ソフト、ミドルウエア製品からサービス、検証、技術支援までをフルサポートできる体制が必要です。当社はそれらをすべてワンストップで提供できる優位性を生かし、お客様の課題を解決していきます。

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