民間の資金と
ノウハウの活用で
インフラ整備維持管理を

 では、公共サービスを効率的に提供するには、どうすればいいのか。宮本教授はその解決策としてPFI(Private Finance Initiative)あるいはより広い概念のPPP(Public Private Partnership)という手法を提案する。民間の資金とノウハウを活用することで、財政支出を削減し、より質が高い公共サービスを提供する事業方式である。

「厳しい財政状況の中で、インフラを効率的に整備、維持管理運営していくためには、民間の資金や経営能力、技術的能力を活用することは不可欠になります」と宮本教授。

 世界的にはインフラの整備から維持管理運営でのPPPの役割が増大してきている。英国では市内全域の道路修繕、維持管理運営事業等も実施されている。

 宮本教授は国内の橋梁の点検から修繕・更新そして維持管理への適用も提唱している。「高度成長期に整備された、いわゆる“団塊の橋梁”の老朽化が進んでいます。これに対応するため、複数の橋梁を“バンドリング(束ねる)”して、設計・施工・長期維持管理を一括発注すれば、民間資金を活用したPFI事業が可能になります」。

 急速にインフラの老朽化が進む中、維持管理へのIoTの活用等の技術開発に加えて、限られた予算で対応するための効果的な体制の構築が求められている。PFI、PPPもその一つの方法。都市のスマート・エイジングを実現するためには、社会全体で取り組むパラダイムの転換が必要になっている。